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その四(十五話の薬草採取あたりの)ハチミツ大作戦

 薬草採取に疲れて、腰をとんとんと叩きながら周囲を見回していると、黄色い花の咲いている草原が見えた。


 そこで近づいて見ると、葉っぱや茎の感じからしてセイタカアワダチソウっぽい草だ。


 そんな草が一斉に開花したようだ。


 雑草形態しか知らなかったけれど、鈴なりに咲く花は鮮やかな黄色い花で花自体は小さくて、もわっとした感じだ。


 そしてそんな花の間を、ぶんぶんと飛んでいる虫がいる。


 よく見るとミツバチらしい、丸っこくて愛嬌のある顔をしている。



 そこで閃いた。


 このミツバチを追いかけていけば、お宝のハチミツゲットになるはずだ。


 王子とユーシンに声を掛けて、ミツバチらしいからハチミツを手に入れようとの話をすると、二人も乗り気になった。



 三人で花にとまって花の蜜を食べているミツバチを観察し、飛び立って巣に帰るのを待つ。


 暫く待っていると、足に沢山の花粉を付けてミツバチが飛び立った。


 それを三人で追いかけた。


 しかし、すぐにミツバチを見失ってしまった。


 何しろ相手は空を飛ぶから、すぐ後ろについて追いかけることが出来ない。


 そしてミツバチは離れてしまえば余りに小さいのだ。


 お宝の手掛かりが消えてしまったため、ガッカリしつつ元の場所に戻り、次の案内役を探すと、すぐに見つかった。



 そこで王子がカバンからハンカチを出して、歯を使って細く引き裂くと、花にとまっているミツバチの足に慎重にくくり付けた。


 布きれを目印にするというアイデアらしい。


 ナイスアイデアだ。※



 そうこうするうちにミツバチが飛び立つが、王子の付けた布きれが重いようで、ミツバチ飛びにくそうに、更にゆっくり低く飛んでいる。


 これならば見失うこともなく、ハチミツを手に入れることが出来そうだ。


 そんなミツバチを三人で追いかけてゆく。


 一度見えなくなってしまったが、どうやら休んでいたようで、ユーシンがまた発見した。



 そうしてミツバチに案内されて森の中を駆け回っていると、辺りにミツバチが増えてきた。


 進めば進むほどに飛んでいるミツバチが増えて、案内役のミツバチとそれに続くオレ達を追い越して行くのと、逆に前から飛んでくるミツバチが交錯する。


「ちょっとミツバチが多いかな?」


 ユーシンがどこか不安げに呟いている。


 そうして一本の大木へと辿り着いた。


 その木の幹には頭が入ってしまいそうな大きなうろがあって、ミツバチが盛んに出入りしている。


 案内役のミツバチもそんな洞へと入っていき、そこで王子が取り付けた白い布が、どこかに引っ掛かったらしくぽとりと落ちた。


 頑丈そうな木だし、辺りを飛び回るミツバチだけでも百匹どころか数え切れないくらい居る。


 確かミツバチも針を持っていて刺すから、このミツバチに襲われたら、大変な目に遭いそうだ。


 ユーシンは「ありゃー」と呟き、


 王子も「これは無理そうだ」とでも言うように、首を横に振っている。


 実際にミツバチにしてみたら、オレ達は家を壊してお宝を盗む大悪人になるのだろう。


 そうならないためには必死になってオレ達を攻撃してくるはずだ。


 どうやら甘くて美味しいハチミツを手に入れることは難しそうだ。



 オレはちょっと考えなしだったことを反省し、王子とユーシンに謝った。


「でもさ、ちょっと楽しかったよね?」


 ユーシンは王子にそう言っていて、王子も笑顔で頷いてくれていた。


 確かにユーシンの言う通り、ハチミツの甘さを夢想しながら、案内バチを皆で追いかけているのは、ワクワクして楽しい時間だった。



「ごめんね、でもありがとう」


 オレは王子とユーシンにそう言って、薬草採取の仕事をするため、二人を促して元の場所へと引き返した。


野生のミツバチに綿を目印として付けてハチミツ獲りをするという話は、おそらく昭和、それも昭和中期あたりまでの話になると思います。


私もやったことがなくて、話に聞いただけです。


残念ながらネットで調べても何もでてきませんでしたが、昔の人はそんなことをしていたようです。

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