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どんな人?




 「あんた何か悪いことでもしたの?」


 「どちらかと言えばお前が邪魔したからだと思うけどな」


 「だったら誠心誠意の謝罪しないと」


 残された碧と2人で学食を頼み、お前が悪いの言い合いを続けて、受け取り口で受け取ってから待ちくたびれているだろう莉織のとこへ向かった。


 「なんでついてくるんだよ」


 「1人寂しく食べたくないからに決まってるでしょ?」


 いつもは結と学食を食べに来るが、用事か何かで来れなかったか。


 「既に喧嘩してるなんて、いつになったら大人になるのかしらね」


 「こいつが悪い」


 「あんたが悪い」


 「仲良しね」


 音川の前に2人仲良く座る。しかし、悪いのは常に碧なので悪いと思っているのは本気だ。着席して合掌。そして食べ始めると莉織は聞く。


 「それで、彼女と何を話していたの?」


 「知ってるのか?さっきの人」


 「知ってるも何も、才色兼備の早乙女千隼じゃん。学年で最も有名の」


 「やっぱりか」


 聞こうとしたことだ。早乙女の目を見た時、同時に顔全体と体が目に映った。その時に感じた完璧のオーラ。以前から聞いていた、莉織たちがそんなに注目を集めない理由の人だったとは。


 「早乙女とは、早乙女と俺が接触したからそれの謝罪と……謝罪をしてただけだ」


 考えれば分かるが、早乙女はどこか焦りを見せていた。ならばそれが良くないことなのかは未知として、尚更そういうことを他人に言うべきではないと思った。だから容姿に関しての違和感は言わない。


 「へぇー、あんたに謝罪ってできるの?」


 「エビフライの尻尾あげる」


 「あぁ!私も苦手なのに!」


 エビフライ定食を頼んでた俺だが、エビの尻尾は苦手だ。だからバカにしてきた碧にプレゼント。これで捨てられることはないのだから結果良かっただろう。


 しかし碧も苦手のようで何よりだ。


 苦手って言っても戻そうとはしないんだよな。


 「知ってても、お前たちは関わったことないのか?」


 「それを私に言うの?貴方と私は常に一緒で、過去どういう学校生活を送っていたか知っているでしょう?」


 「それはそうだな。なら碧限定で」


 「私もないよ。でもつい最近聞いたけど、早乙女さんは久下結とかいう女子の幼馴染らしいよ」


 「初めて聞く名前にしては親近感湧くわね」


 「女子の関係は闇が深いな」


 前々から何度か聞いていて、正直結構気になっていた結のもう1人の友人。その詳細は聞いたことがなかったので全く知らなかったが、ここに来てまさかの学年で最も有名な才色兼備だったとは。最近は驚きの連続だな。


 「まぁ、冗談はいいとして。ホントらしいから早乙女さんを頼んだよ、七生。あんたが私たちの仲に引き入れてくれれば文句ないから」


 「他力本願かよ。別に無理に仲良くなる必要ないだろ」


 「いいや、無理じゃない。私は早乙女さんと仲良くなって色々聞きたい。それに早乙女さんを千隼と呼んで優越感に浸りたいんだよ」


 「自分のことばっかだな」


 「でも早乙女さんは一匹狼と聞くわ。結とも関わっているとこは見たことないし、噂では孤独を好む性格だとか」


 雰囲気から察した俺の偏見は正しかったのかもしれないな。早乙女はあの場にも1人で居たし、今も1人で食事をしている。孤高過ぎて誰も近寄れないとかそういう理由で孤独になっているとは思えない。見た目も雰囲気も、クールなだけで喋る時も高圧的で鼻にかけた様子も感じも伝わらなかったから。


 普段から高圧的に接されている俺が言うと説得力はないが。


 とにかく自分の意思で1人を選んでいるのは俺もそうだと思う。悪い意味ではなさそうなのが良かったことだな。


 「それでも結とは関わってるらしいから、別に人が増えてもいいんじゃない?私たちみたいな少し変な集団の方が案外気楽と思って仲良くしてくれるかもよ?」


 「それはあるかもな。お前が無神経に言いたいこと言わなければ何とかなりそう」


 「時と場合は考えれる天才なので、心配しなくて大丈夫でーす」


 「たったそれだけで天才なんて、流石学年2位ね。格下の気持ちは分からないわ」


 「最近私への反撃が強いよね。悲しくなってきた」


 「自業自得だ」


 反撃という時点で攻撃しているのは碧なので、こればかりは正当防衛だ。過剰防衛とか言い出した時には、それならいっそ過剰に過剰を重ねて徹底的に反撃するだけだ。


 「そういえば、才色兼備とか言うのに期末テスト何位だったんだ?」


 思えば莉織たちをも上回るくらいなんだから、それ以上の実力を持っていると思っていたから少し疑問に思った。


 「分かんない。でも20位以内なのは確実だと思う」


 「ってことは身体能力の方もハイレベルなのか?」


 「そういうことになるね。早乙女さんは運動に関しては基本無気力でそんなに真面目にやることはないらしいんだけど、体力テストは満点だから能力は多分学年で1番だと思うよ」


 「凄いな」


 「何故か普通にやって見せる早乙女さんが脳裏に浮かぶわ」


 体力テストは、俊敏性、柔軟性、投力、握力、持久力など様々な身体能力を測定される。だから総合的に、全てに於いて長けた能力を持たなければ満点は不可能。普段無気力な人がそんな一面を見せる。それは有名になるだろうな。


 「だから私たちは石ころ同然なんだよ」


 「私も足が悪くなければ満点なんて余裕よ」


 「だったら俺も病気じゃなかったら満点だな。あれ?1人全力でも満点じゃないやつが居るなー」


 「いやー、A評価取れればいいからなー。満点なんていつでも取れるし、何なら寝起きでも満点だけど、疲れるの嫌いだしA評価貰えるギリギリで終えてるだけだもんね」


 俺と莉織はたらればの話だが、碧だけは強がり。しかしその強がりを本当か確かめる方法はないので、ここはお互いに負けを決めることなく穏便にことを済ませる。


 「へぇー、結構碧も優秀なんだな。来年は満点期待してる」


 「覚えてたらね」


 「都合のいい記憶力ね」


 いつも通りだが。


 そうして俺たちは学食を食べながら、二学期の始まりにまた大きな出来事が生まれる気がして歓談を続けた。

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