恋を望む普通の高校生
走る。少年は走った。駅から去って行く電車をただ追いかけた。
離れたくなかったから。もっといっぱい遊びたかったから。顔がとても可愛かったから、これ、運命っじゃんと思った少年心の純情を返して欲しくて、さっちゃんを置いて海外に行けとさっちゃんの親を恨みながら少年は走り続けた。追いつけなくなり去って行く電車を見ながら少年は叫んだ。「さっちゃんは俺のものダァ」と。澄んだ空気に消えていく声は去っていく電車と重なって見えた。最後に見えたさっちゃんの顔は残念な目で少年を見ていた。だけど最後は悲しいそうな顔をしたさっちゃんの顔を見たとき少年はさっちゃんの隣に相応しくなろうと決意した。