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第48話 アンデッドかと思いきや

 僕らが遺跡から出ると、そこにはアンデッドの集団が待ち構えていた。


「『ぎゃ~!!』」


 女子2人の恐怖の叫び声がこだまする。


「ま、ま、ま、マキアスぅ。みんな死んでるみたいで気持ちわるいぃぃ」


 女子のうちの1人、リーナがこれでもかというほど取り乱している。まあアンデッドだから死んでるみたいというか、すでに死んでいるのだけど。もはや正常な判断ができないほど気が動転しているのだろう。


『ひぃいい、マキアスさま~、バッタもいるぅ、カラスもいるぅ』


 もう一人の女子であるエレニアも恐怖で動けないようだ。膝がプルプルしている。

 僕らを取り囲むアンデッドを注意深く見渡してみると、バッタやカラスは僕が倒した魔物のようだ。それ以外にオオカミみたいなのもいるな、たしかリーナを初めて助けた時に切り捨てた奴らか。


 なぜいま大量発生したのかは謎だが、取り囲まれている以上は殲滅するか、包囲を突破して逃げるかしかない。


「数が多い! エレニア! 遺跡内と同じように【水分創成】を使おう!」


『………』


「エレニア! はやく!」


 僕が振りむくと、エレニアさんはバッタ(イーゴナゾンビ)にぱっくりと顔をかぶりつかれていた…


「うわぁあああああ! え、エレニア!!」


 僕は大慌てで、エレニアの足を引っ張る。


 ずりぃ~とエレニアさんの顔が出てきた。良かった、パクリといったイーゴナゾンビは歯が抜け落ちていたらしく、あまがみ状態だったようだ。エレニアに外傷はなさそうだ。まあ精神的に大ダメージだろうけど…


「エレニア! 大丈夫!?」


 僕は寄せてくる、オオカミゾンビとイーゴナゾンビの対応をしつつ、エレニアに声をかける。


『………』


 エレニアさん目はあけたけが、明後日の方向を見ている…完全に放心状態だ。ここはコードなしで戦うしかない!


 僕は宝剣トラミスを構えて、迫りくるゾンビたちを斬撃で押しとどめた。

 トラミスの切れ味は凄まじいが、相手はアンデッド。

 切るだけでは致命傷が与えられず、倒れても起き上がってくる。


「はあ、はあ、さすがに数が多いし、きりがないぞ」


 このままじゃ体力を削られる一方だ。

 そんな時に僕の背中から叫び声が聞こえる、リーナだ。


「ぎゃぁああ! こないで~! ヒール! ヒール! ヒール!」


 リーナが錯乱して回復魔法≪ヒール≫を連発している。


「ん? ヒールの光が当たったアンデッドが苦しんでいる!?」


 アンデッドの腐敗した体にとって、リーナの強力な回復魔法≪ヒール≫はダメージになっているようだ。


「いや、いや、いや~」


「ちょ、僕だよ。リーナ落ち着いて!」


 にしても、リーナが錯乱しすぎだ。目の焦点があっていない。

 リーナは僕に回復魔法≪ヒール≫をかけはじめる。


「うわ~ん! ヒール! ヒール! ヒール!」


 ああ、すっごい回復速い! すっごい気持ちぃい! これリーナのスキル【光の加護】も発動させてるぞ。全力ヒールだ。


 しかし、アンデッドたちは容赦なく襲い掛かってくる。

 再度、僕は女子2人を守りつつ斬撃で対応する。


「ん?」


 切ったアンデッドたちが切り口から煙をふきながら灰になって消えていく。


 あれ? なにこれ? 

 よくみると、宝剣トラミスが光っている。リーナのヒールの輝きと同じだ。


 再度、アンデッドたちに斬撃を与えると、やはり切った瞬間消滅していく。


 これ、リーナのヒールがトラミスに付与されている!?


「すごいぞ宝剣!」


 僕は攻勢に転じて、アンデッドたちを切りまくる。


「うぉおおお!」


 体力もリーナの全力ヒールで全回復しているので、トラミスを縦横無尽に振りまくる。

 彼らに知能はそれほどないらしく、動き自体は単純かつ遅い。

 次々とアンデッドの肉片と灰の山が積み上げられていった。


「ふう、これでなんとか全部倒したか…」

 僕らを包囲していたアンデッドはあらかた片付けた。


 僕が額の汗をぬぐい深呼吸していると、2人の女子が飛びついてきた。


『「わ~ん、マキアス」様』


 2人はようやく正気に戻ったようだ。

 とりあえずよしよしと頭をなでる。それと、エレニアは【水分創成】で汚れを流し落とす。

 密着についてはしょうがない。王女だ女神だと言っても怖いものは怖いんだから、落ち着くまで少し時間がいるだろう。

 そんな2人が再びガクガクブルブルしはじめる。


「ひぃ、ま、マキアス! あれ!」

『なんか動いて、こっちくるぅうう』


 彼女たちが怯えて指さした先には、たしかに黒い塊がもぞもぞとうごめいていた。

 アンデッドの灰の山から這い出した塊がズルリズルリと近づいてくる。


「まだ、動けるアンデッドがいたのか?」


「ばぁきゅあしゅ~、ちゅばちゅば~」

 塊がおどろどろしい音を立てつつ、さらに近づいてくきた。


 こ、怖っ! なんだこのアンデッド。


「ん? なんか見たことあるような…」


「お、おれさばと~じょうぶじろ~」


『「ぎゃ~!! アンデッドしゃべってる~!!」』


 リーナとエレニアは僕の後ろに逃げつつ、ガクガクしている。

 僕は2人をかばうように前に立ち、塊をじっとみつめる。


「ばぁきゅあす~」


「………」


「ばぁきゅあす~」


 ズルリズルリと僕の足元にまで近づく塊。


 ばしゃ~~~


 僕は塊に水をかけた。

 塊に水をかけつつ、周辺についてるアンデッドの肉片を洗い流していく。


『「マキアスなにやってんの!?」』


「よし、これでだいぶ綺麗になったよ」


『「だからマキアスなにやってんの!?」』


「いや、このままじゃ誰かわからないし。なんでこんなところにいるです? 兄上」


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