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ばけもの子供の物語

ばけもの子供の物語 人

作者: リィズ・ブランディシュカ



 世の中に、ばけものはたくさんいる。


 学校にも、会社にも、電車の中にも、ビルの中にも。


 ところかまわず、ばけものはいる。


 人の皮をかぶったばけものが、たくさん。


 親切を働くふりをしながら、人を貶めたり。


 味方の顔をしながら、裏切っていたり。


 そうやってするものたちが、たくさんいる。


 人間なんて、ひとつ皮をむいたらみんなばけものだ。


 だから、本当に信用できる人間なんて、どこにもいやしない。


「おまえのためを思って言ってるんだ」


「遊ぶのはちゃんと勉強ができてから」


「漫画やゲームを買うお金があるなら、もっと他の事につかいなさい」


 そう思っていた。


 けれど。


「だいじょうぶ? かなしいかおしてる」


 ある日、帰りたくない一心で、日が暮れた公園にとどまりつづけた。


 ブランコをこぎながら、家の事を考えていたら、声をかけてきた存在がいたのだ。


「こんばんは」


 それは夜の間しか活動できないばけもの。


 人間とは違うもの。


 この現代社会にそんなものがいたんだと、私は思わずびっくりした。


 その子はとても、ばけものっぽい見た目だった。


 でも、人間と接する時とは違ってとても安心できた。


「つらいことがあったら、はなしてごらん」


「なにもできないけど、いっしょにかなしむことはできる」


「そしたらたのしいことをいっぱいして、いっしょにあそぼう」


 私はそのばけものの事が大好きだった。


 でも。


「ばけものがいるぞ」


「なんてことだ」


「しんじられない」


 ある日、人間にみつかったばけものは殺されてしまった。


 私の大好きなばけものが殺されてしまった。


 ためらいもなくばけものの姿をしているから、殺してしまえる人間の方が。


 私には、ばけものに見える。


 だったらしょうがない。


 私もばけものになろう。


「何をするの! 今まで育ててあげた恩も忘れて」


「とうとうおかしくなったか! 前々から何を考えているのか分からない不気味な奴だと思っていたが」


「きゃあああ! 血まみれで歩いている女の子がいるわ」


 人間なんて、みんなみんな、ばけものみたいなものなんだから。


 そんな怖いばけものは、あいつらがやったように退治してあげなくちゃ。



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