リン、豪華な部屋に気後れする
リンは 薬種商会との契約を済ませるとノアさんを娘さんのところに送り出した。家の中を片付け、あとは商業ギルドにすべて依頼した。ノアさんとの約束だった。
リンは必要な荷物を持って薬種商会テトに向かった。今日から調剤室での仕事が始まる。フィリッツさんに連れられ、街の本店から魔法陣で調剤室に移動する。2回目といえ、突然現れる森や薬草畑には驚く。最初と違い右奥に進むと大きな扉がある。フリッツさんが、リンの魔力登録をする。
魔力登録したドアを過ぎると左右にいくつかのドアが付いた部屋が並ぶ。その一つに案内された。
さすがに大店だけに部屋は広く風呂も台所、トイレも完備されている。寝室以外にも二部屋あり一部屋は工房施設になっている。これだけの設備に見合う仕事が出来なければならない。ここまで来たんだ、頑張るしかない。
廊下の厨房から美味しいそうな匂いがする。
「ここは、寮生活をする者の部屋が並んでいます。通勤の者は別の個室があります。食事は朝夕は、こちらの食堂で24時間食べれるようになっている。昼は調剤棟の奥に大きな食堂がある。この職員カードをいつも持参してください。これを提示すれば無料で食べれます。は、個人管理です。大人ですから常識内で交友してください。結婚された場合は、家族棟もあります」
「いえ、そんなことは心配ないです」
「いえ、リンさんは若い。仕事だけでは人生、行き詰まります。仕事は仕事と時間配分をしっかり分けることが必要です。既定の仕事さえしていただけたら、あとは自由に過ごしてください。お部屋の工房を修練、研究、内職、自由に使ってください。
カードで、薬草やその他の私的購入は支払いができます。ここは規則で縛るより自由な発想で仕事をして欲しいのです」
部屋には色々揃っているから確認すること。あと、部屋を借りているのは男性が多いいのと貴族もいる。職場では地位は関係ないと言っても、中には煩い者もいます。その辺は気を付けてください。目に余るようなら声をかけてくれと言われた。部屋の入り口もカードで開く。仕事は明日からで良い。調剤服は部屋においてあると言って帰っていった。
食堂をの場所を確認して、自分の部屋に戻った。その時、食堂にいた職員は驚いていた。調剤長が直々に案内した女性は誰だ? どこの貴族だ!と騒ぎになった。
そんなことも知らず 南向きの明るい部屋にリンは気分を良くしていた。モーリアス家の調剤塔の個室以上の豪華さに気圧される。部屋の工房に持ち込んだ錬金窯に調剤道具を並べる。父の残してくれたカバンのお陰で、荷物を沢山運び込むことができた。ノアさんの所で育てた薬草も採りだめしてある。しばらくは買わずに済みそう。
自作の石鹸や洗剤等もそれぞれの場所に置く。持ち込んだカーテンを掛けるとやっと自分の部屋になった気がする。ここに来る前にそれなりの服を用意したが、仕事服が合ってよかった。リンは初めて、気後れを感じた。
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