リン、魔女は目指せるか?
妹様の突撃から始まったお茶会は、それからもときどき開かれた。奥様のナディア様からは、お肌の相談を受けた。入浴剤の購入も増えた。手作りゲーム版は改めてリンが書き直した。今回は引き算も入れてみた。
妹様は手づくりゲームが楽しいらしく、他にないかと催促が来る。仕方ないので、読み札と絵札のカード遊び(カルタ)や、10までの数字のトランプを自作した。色付きのインクやいろいろな紙をまで持たせてくれた。ゲームに色を添えるとなかなか立派に見える。
妹様の部屋に何度か訪問するうちに、『初めての生活魔法』を見つけた。
「エメルメアお嬢様は、魔法が使えるのですか?」
「魔法?そんなもの使えないよ。魔女は隠れているから誰も知らないの」
「この本は?」
「奥の部屋にあったの。絵が可愛いから持ってきちゃった。他にもあるよ」
そう言ある、表紙が可愛いらしい本を並べてくれた。
「もし奥様が許してくれたら、読んでみたいのです。お嬢様から聞いていただけませんか」
「いいよ。また来てくれる?」
「はい 奥様がお許しになれば。次はこんな風に紙で花を作りましょう」
妹様はすぐに奥様の所に出かけ許可をもぎ取ってきた。
奥様から何にも役に立たない魔法と文字が付く本を数冊もらい受けることが出来た。
初めての生活魔法
初めての魔法を使おう
貴方も魔女になれる
メメの冒険魔法物語
魔法にあこがれる子供向けのおとぎ話的な本のようだ。リンは大事にその本を持ち帰る。
リンは、ゆっくりと本を読み解いていく。
体の中の魔力を感じよう
魔力を体中に動かそう
魔力を指先に集めよう
指先の魔力を意識しながら、灯を想像して「ライト」と唱えよう
ライトが付いたら、あなたは魔法使い。あとは想像力です。火には注意してください。魔力を使いすぎると気分が悪くなります。お休みしましょう。大人のいるところで練習しましょう。
魔法を使うためには 魔力を動かして、魔力を消費すること。開かずの扉を開くとき、体から引き出されたのが魔力。お腹の真ん中からドアノブを持つ指先に流れたものを思い出す。
開かずの扉や錬金釜・・・。サファイアの両親が魔法を使えたのだろう。サファイアが魔法登録できたということは、リンには魔力がある。
これらの本は両親がサファイアのために用意した物だろう。リンの生活に 魔力を感じ、魔力を体中に巡らすことが追加された。
リンは寝る前に、開かずの扉に魔力を抜かれるのを感じながら、魔力の塊を感じることから始めた。本の通りに毎日毎日練習を重ねた。
ライトを灯すことも魔力を感じることも出来ない。リンは取りつかれたように毎日繰り返した。
本当に魔法が使えるかなんてわからない。でも、出来ないとも言えない。きっとサファイアは、両親の魔法を見ている。必ず魔法は使える。信じて続けていくしかない。
リンは魔法に魅了されていった。
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