リン、調剤品は上出来
薬種商会セレスタに初めての納品 上出来で一安心
支度金までもらえて リンの生活は向上する
リンは 薬種商会セレスタに傷薬を納品した。
受け取った担当のダンが奥の部屋に一度持ち込み製品を鑑定にかけている。
ダンさんが奥の部屋から戻ってきた。
「リンさん、これパイロン様が作ったのですか」
「何かありましたか」
「ランクC+の製品です。残っていた薬草で作ったんですよね。先が楽しみだ。 ロースト様も一安心だ。薬草などの必要な物は・・・・」
「こちらに書き出しました。目を通してください。・・購入金額がかかり過ぎますか」
「薬草や消耗品は仕方ないね。良い薬を作ってくれればすぐ元が取れるよ。
あとはこちらでしっかり商売するから。必要経費は掛かるものだよ。
ここだけの話、以前の薬師の中には困った人もいたから辞めてもらったんだけど、自前の薬師がいないのは大変なんだ。パイロン様が戻ってきてくれて良かったです」
「あと作れる薬の一覧です。優先するものがあったらお知らせください」
「ああ、助かる。連絡は・・納品の時でもいい。それとも時間を決めて取りに行こうか」
「門番の人に昼後預けるようにしましょうか」
「それいいね。ロースト様に相談しときます。毎日街に下りてくるのも大変だから」
最初の傷薬の出来が良かったので 機嫌が良い。
「あの、僕の服や布団なんかを買いたいのですが、安くて品物がいいところないですか」
「えっ、今まで如何していたの?」
「個室に毛布があったので、包まって寝てました」
「・・・・そうか。調剤棟から出る時全部持って出たんだな。2金貨渡すから 今から購入して今日中に運んでもらいなさい」
慌てて言葉を繋ぐ。
「じぶんの物ですから自分で払います」
「こちらの落ち度だから気にしないで。支度金だと思って使ってください。その分お薬お願いします。リンさんがお手伝いするからお薬が納品で来るのですから」
2金貨渡されてダンさんに教えてもらったお店に向かう。布団やタオル・着替えに作業着、石鹸などの日常品を購入し搬入をお願いした。
薬屋イバにいた時も街に買い物などあまりしたことが無かった。ふらふらと歩きながら食料品や食器などの雑貨を見てまわる。
手にとっては色々確かめて少しだけ購入した。暗くなる前に急いで坂道を帰った。
薬種商会セレスタの受付キャサリンは、一度は貴族に嫁いだが事情があって実家に戻った。結婚前に勤めていたので薬種商会セレスタに再就職した。この時代では、珍しい働く女性だった。
キャサリンはリンが女の子だと気づいた。無理して声を低くしているようだが初々しい。何か事情があるのだろう。まだまだ色気などない。
ロースト様は女好きだけどタイプが違うので良かった。
バイロン様のお薬はリンがつくっている。だって、最初パイロン様が持ってきた薬は売り物にならなかった。それから全然納品されない。
そして今日持参した物が残り物の薬草でランクC+ リンが作ったに違いない。ダンは気が付いたかな?
知らん顔しないとお薬が届かなくなるから、余分なことロースト様に言わないように口止めしないと。
キャサリンは活気のないセレスタに新しい風が吹くのを感じた。
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