リン、独り立ち準備
パイロンは、薬屋イバを辞めて ローストの元に戻る
リン隠れて試験受けて無事に合格する。
カイル調剤長から試験の傾向を確認した。試験受験経験者から試験問題を集める。薬師試験は、認定試験だ。座学を過去問から傾向を探って勉強する。
初級の薬の調剤は、やって覚えるしかない。
いつも言われたことをやるだけだから自分で技術を身に着けようとしていない。
見て覚えろは意欲のある人には良いが誰にでも有効でない。それぞれ実家はお金があるので、薬草を買ってCランクの最低商品として売り出せる物を調剤する。
パイロンが薬師認定試験にどうにか受かり、ローストの所に戻ることになった。貴族でそれなりに家庭教師の下、勉強していたんだろうに学ぶという意欲が低い。パイロン以外の貴族の次男、三男の見習いは、食べるに困らない今の甘々生活からいずれは実家から独立する。それが分かっているから薬師の資格がほしい。それは真剣になる。
まあ、薬師を目指して自立を考えているだけ、まだまともらしい。何度も試験に落ちている人もいる。勉強の仕方が分かっていない。
パイロンは跡取りなので、余計に切迫感がない。彼が薬師資格を持たないと 父親であるローストが困る。ローストは薬師の資格がない。取れなかったらしい。たとえ薬師にならなくてもパイロンは貴族の家を継ぐことが決まっている。余計に切迫感はない。
今年の見習いは、優秀だと褒められるほどの薬師試験合格者を出した。
リンはカイル調剤長のおかげで、隣街で試験を受け合格した。
「リンさん、僕と一緒に薬種商会セレスタに勤めてくれないかな。別に下心はないよ。僕一人では、調薬に自信ないんだ。リンさんなら分かるよね。
セレスタには、僕以外薬師が今はいない。色々手伝ってくれる人が必要なんだ。 リンさん、お給料も今よりはずむし住むところもあるから」
パイロンはリンなしでは、上手に調薬できないのが現実なのだ。さらにモーリアス家の敷地にある調剤棟は、誰も住んでいない。パイロン一人で調剤室の管理は出来ない。抜けているパイロンでも分かっていた。
心待ちにした言葉だった。父親の悪行を知らないパイロンを利用するのは 気が引けるが、ローストに近づくためには最高の機会だ。このために今まで頑張ってきた。
「ありがとうございます。パイロン様は、先に調剤室の準備を整えてください。使える器材を確認したり、薬草の取引先なども調べて手続きをしておいてください。一緒に辞めるとあらぬ噂が立ちます。半年後退職します。ご連絡ください」
「そうだね。君は、女性だから慎重に行動しないとね。そうだよ調剤室埃まみれだよな・・・機材購入できないよな・・・」
やっぱり、お貴族様の坊ちゃん。指示されたと思わぬように誘導して半年後には、自分が働けるように最低限準備して欲しい。
両親の死についてローストが関係しているだろうが、はっきりしたことは分からない。ゆっくり調べればいい。時間はたっぷりある。
ゴンばーの死の復讐もしないと。慎重に行動を起こさないとならない。
誤字脱字報告ありがとうございます




