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もう目に輝きを取り戻し、はつらつと話すグノワール卿に、
語りかける。
「【過剰回復爆発】と言う魔法はご存知ですか?」
「いや?」
初めて聞くのだろう。
それも仕方がないと思う、【過剰回復爆発】はスキルとしては
ほぼ取得する人はいないからだ。
『聖者』もいたようだが、魔導書を習得していないなら、
まず知らないだろう。
「『聖者』の唯一の攻撃魔法です」
「『聖者』が攻撃?」
王子も私を見る。
驚かれるのも仕方がない、『聖者』は『治癒師』と『結界師』の
上級職であり、攻撃を担当する職業ではない。
「普通、回復呪文は、体力を回復させます、
しかし【過剰回復爆発】は生命力以上の回復をし、
生命力を爆破させ、死へと追い込む魔法です」
グノワール卿は言葉につまったようだった。
「ご子息の為を思われてとの事だったのでしょうが、
余りにも、回復魔法の量が多かったのです」
普通の魔法で駄目なら、高位、それで駄目なら最高位と、
魔法のレベルを上げるのが一般的で、
グノワール卿にとっても、寝耳に水の事だったのだろう。
多分、最初は風邪か何か、軽い病気だったのだ、
しかし、あまりにも大量の回復魔法を浴びて、逆に悪化してしまった。