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「すぐに辞めて!」
そう叫んで、王子を振り向く。
「ユリウス!魔法を全て無効果して!!!」
王子は反射的に魔法を無効果する魔法をかける。
『勇者』の魔導書で、勇者がこの魔法が使える事を、
私は知っていた。
それから、子息の様子をみ、低位全体回復魔法をかける。
しばらくすると、苦しそうに息をしていたのが収まり、
青みががっていた顔は、正常な顔色に戻ってきた。
子息の部屋に、おおおっと言う声が満ちる。
グノワール卿は子息の手を取り、
今は規則正しい息をしている子息に、涙を溜めている。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
何度も何度も、くり返している。
グノワール卿が落ち着いたのを見て、
応接室へと移動した。
「本当にありがとうございます、感謝しかございません、
それにしても、どうやって息子を助けて下さったのですか?」