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それから、グノワール卿と連絡のやり取りがされ、
すぐにグノワール卿の屋敷に向かう事になった。
王子と二人で、グノワール卿の屋敷に向かう。
貴族の屋敷に相応しい、立派な屋敷だが、
豪華絢爛といった風はなく、
どちらかというと、つつしまやかな印象を与えた。
これがグノワール卿の、飾らない人柄を現しているようで、
『土木師』として多くの事業を手掛け、
その功績と合わせ、私はグノワール卿に好感を持った。
グノワール卿は40代前半と思われる、
白髪交じりの髪に、どこか憔悴した表情をしている。
目も濁り、活力が感じられなかった。
「王子、それにマリエッタ様、ありがとうございます」
その言葉にも、元気がなく、
子息の前にグノワール卿が駄目になってしまわないか、
心配になるぐらいだった。
「それでは、さっそくですが、ディーダの部屋にご案内します」
ディーダと言うのが、子息の息子の名前なのだろう、
そう思いながら、子息の部屋に入るなり、驚愕に目を見開く、
そこには6人程の『治癒師』が、子息に高位回復魔法をかけていた、
その中でも1人は『聖者』なのだろう、最高位回復魔法もかけられていた。