9/125
2-4
「ガルディーラ?聞いた事ないわ」
「ああ、新製品さ、お試しあれって事で」
ふくよかな体格で、太鼓腹をゆすって、
露店の店主が答える。
おまけといいながら、あえて新商品を配って、
気に入ってもらえたら、こちらも買ってもらおうと言う寸法ね。
店主の商魂の逞しさに感心しながらも、
それならいいかと思ってしまう。
そうしているうちに、横から他の客の注文の声が飛び、
迷っていると、迷惑になってしまいそうだ。
「じゃあ、それでいいわ、いっぱいおまけしてね!」
「お嬢ちゃんは可愛いからな、任せとけって」
そう言って、新商品を袋に詰め込んで、
渡してくれる、私はあわてて400クローネを払った。
母のお土産もかねているが、結構沢山買ったのだ、
少しぐらいつまみ食いしてもいいだろうと、
買ったばかりのバールディユーの果実をつまみ、口に入れる、
最初は少し固めだが、噛んでるうちに甘みが広がり、
この果実独特の味が広がる。
うん、やっぱり美味しい。