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王子の執務室で、2人だけになったのを見計らい、
ガルファが声をかける。
「今日はどうなさったのですか?」
ガルファが、何を言っているのかは、すぐに察しがついた。
自分でも、剣のキレが悪く、力ずくで押していたのは、
自覚している。
どうやら、思っている以上に精神不安定で、イライラしているようだ。
「アーミーキャットを何とかしろ」
「アーミーキャットですか?」
脈絡のない会話に、ガルファが詰まる。
俺は、居心地が悪くて、顔をそむけた。
ガルファは考えこんでいるようだった。
「もしかして、マリエッタ様が飼っていらっしゃる、
アーミーキャットですか?」
どこか、呆れた風にガルファが言う。
マリエッタが飼っているアーミーキャット。
マリエッタは「リリィ」よと言って可愛がっているが、
俺にはリリス(悪魔の娘の名前)のような気がしてくる。