10-1 リリィとの出会い
王子がファイヤーグリスリーの討伐にでかけて二日、
王子の上級侍女であるマリエッタは、暇を持て余していた。
時間はたっぷりあるので、唯一会得してない、
『勇者』の魔導書を読んだりしているが、
それでも時間は余る。
学園に、一般、上級職の魔導書はあったが、
特別職の『勇者』の魔導書は置いてなかった。
ちなみに、同じ特別職の『遊び人』の魔導書は存在していない。
保管されているのは、国一番の冒険者ギルドと王宮のみ、
そんな貴重な魔導書を読んでみたいと、
駄目元で頼んでみたが、リタが王様に30分程で許可をもらって、
きてしまった。
いつも思うのだが、王宮の人は私に甘く、優しすぎる。
まさか王宮が、これ程居心地がいいとは感激だが、
リタによると、私の王宮に対する貢献からすると、
当然のこととの事だった。
王子を起こして、ランチ食べて、ダンスする。
これだけで、そこまで言ってもらえるのも、
少し複雑なのだが、どこまで王子は皆に迷惑をかけていたのやら。
そんな事を考えながら、廊下を歩いていると、
中庭で『騎士』や『治癒師』数名が集まっているのが見えた。
「どうしたのかしら?」
部屋から出る時は、常に私に付き従っている、リタに聞く。
リタは案内人兼、護衛なのだ。