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住民達に怯えた顔で見られるのは、初めてではない。
あまりにも強い攻撃は、感嘆を通り越し、恐怖に映る。
王宮にいる人も、どこか遠巻きに自分を見ているのを見て、
仕方ないなと思う。
特に寝起きに関しては、自分にも非がある。
そうしているうちに、冷たいと言われる表情をする事が、
当たり前になっていた。
しかし、と思う。
マリエッタだけは違う、俺を恐れないし、
その存在は自分を癒してくれる。
今まで1人でいるのを、寂しいと感じた事がなかった。
しかし、今はマリエッタが傍にいない事を寂しいと思う。
本当は寂しかったはずなのに、その感情に気づけない程、
自分は感情を押し殺していたらしい。
マリエッタに会って、いろんな感情が自分から湧き上がってくる。
大切な人で、愛おしいと言う気持ちも、
どんどん膨らむばかりだ。
また毛を撫でてもらおう。
空を一気に駆けていった。