82/125
9-5
それから数時間後、村の広場には、
大きなファイヤーグリスリーの死体が7匹転がっていた。
どうやらはぐれたと思っていた1匹は、単独で行動していた、
ファイヤーグリスリーだったらしい。
報告と誤差がある事は良くある事なので、気にかけずにおく。
村人の顔は明るく、歓迎とお礼の振舞をしてくれている。
明るく、村人が歌う声が響く広場。
楽し気な雰囲気の中、カサカサと音を立てて、
キラースコーピオン(サソリ型モンスター)が現れた。
悲鳴と、混乱が一気に襲う。
どうやら、ファイヤーグリスリーの死体を食べに来たのだろう、
キラースコーピオンは毒を持ち、危険だ、放置しておけない。
「高位電撃魔法」
電撃魔法を召喚して、一気に片づける。
ドオオンと大きな音がして、キラースコーピオンに直撃した。
どうやら、皆無事らしい。
「大丈夫か」
声をかけると、ひぃと言った、悲鳴が聞こえる。
周りの住民達も怯えているようで、
困った顔で、俺を遠巻きに見ていた。
「王子」
気づかわしげに、俺をみる『魔法使い』に、
「先に王宮に戻る」とだけ言って、聖獣の姿になり空を駆けた。