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それから、王子の部屋に向かう、
リタに王子を起こして、起きたらすぐ呼んで欲しいと言われた、
専属侍女としての仕事らしい。
私は王子の部屋に
「失礼します」
と小声で言って入っていった。
そのまま寝台の傍までいる、相変わらず整った顔だが、
寝顔もきりりとしていて、気を張っているようだった。
「王子、朝です、起きて下さい」
まったく反応がない。
仕方ないので肩をゆすってみる。
「王子、朝ですよ」
そう言うと、ごろんと私のいる方向と逆に向いてしまった。
どうやら、王子は朝に弱いらしい。
「昨日、喉ゴロゴロ言わせて、尻尾振ってたの言っちゃいますよ」
そう言うと、王子がガバっと起き上がった。
しかし、目は半分しか開いておらず、本当に眠そうだ。
あくびを我慢している姿を眺めつつ、扉を開け、王子が起床した事を告げる。