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「でも、尻尾揺れていますよ?」
そう言うと、王子は自覚がなかったのか、
体をビクンと跳ねあがらせる。
その後、尻尾が動かないように、一生懸命意識しているようだが、
パタパタ揺れていた尻尾が、パタンプルプルと震えて、
またパタンと動いていた。
「無理をなさらないでください、
気持ちいいなら、私もその方が嬉しいですし」
暫く迷っていたようだが、本能には逆らえないと思ったらしく、
王子は尻尾が動かないようにするのを諦め。
パタパタと尻尾が動くままに任せたようだった。
ふふふと微笑んで、まんべんなく撫でまわす、
最初はどこか緊張していた王子も、
気持ちよさに負けたのか、頭を前足にのせ、
張っていた気を、緩めたようだった。
静かな部屋に王子の喉を時々ゴロゴロと鳴らす音だけが響く。
幸せだな~
シードラゴンに立ち向かっていた時とは、また違う、
霊獣の王子の姿を見て、
ますますこの王子に親近感を覚えたのだった。