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「そうか、では最後に王子に何か言う事はあるかね」
そういって王は傍らに立っていた若い男性を見る、
シードラゴンを倒した時は聖獣の姿だったので、
ピンとこなかったのだが、どうやらこの男性が王子らしい。
どこか王と似た顔つきで、非常に整っている。
ハンサムで、世の女子がキャーキャー騒ぎそうな、
アイドル性を持っている、
しかし、その表情は硬く、冷たい、
ガルで慣れているとはいえ、初対面の人なら、
話しかけるのすら、躊躇する雰囲気をしていた。
とは言え、解毒魔法は良く効いたようで、
顔色も良く、お元気そうだ。
王子に言いたい事かと、しばらく考えて、
では、と口を開く。
なぜか王子の表情は更に硬くなり、身構えているようだった。
「ありがとうございました」
王子の顔に不思議そうな表情が浮かぶ。
あれ?そんなに変な事いったかな?
「王子が来て下さらなかったら、私を始め、
多くの人が亡くなっていたでしょう、感謝しております」