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「仕方がないの、ではリンダ、これは王命である、
心当たりある事、全て話せよ」
王命と言う言葉に、リンダの体がびくんと震える。
それから、しばらく無言が続いたが、
王と王子、大臣達は辛抱強く待った。
「確かに王子をお救いしました」
そのリンダの言葉に、全員の視線が集まる。
「その変わり、自分の未来を失ったのです!」
そう言って泣き崩れるリンダに、
大臣はあわてて侍女を呼び、部屋で休ませた。
その後、女同士の方が良いだろうと、
侍女長が、少しづつリンダから話を聞き出した。
「まさかそんな事になっていたとは」
リンダを学園に返し、王の私室には、
王、王子、騎士団長のガルファの3人がそろっていた。
「『聖者』を目指していた少女か・・・」
王の呟きに、2人も視線を落とす。
息子の王子は、固い表情をしている事が多く、
周りから氷の王子と呼ばれている、しかし、それは表面のみで、
王子が、繊細で優しい人間である事を、父親の王は知っていた。