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なおも震えるリンダに、優しく、しかし威厳のある声で、
王が話かける。
「褒章を与える話だ、悪いようにはせん、
話してみるがよい」
王の言葉を聞き、数秒じっくり考えてから、
リンダが言葉を紡ぐ。
「1人だけ、心当たりのある生徒がおりました」
「おりました?今はもういないと言う事か?」
リンダは力なく項垂れる。
「申し訳ありません」
うむ、と大臣は王と顔を見合わせる。
「どうして、もういないのだ?」
青く震えるリンダに、王と大臣はただ事でない気配を感じる。
「決して、そなたも、学園も罰しないと約束しよう、
訳を話してくれないか」
ちらりと王子を見る視線に、王子が気づき、
声をかける。
「礼を言いたい、頼む」
それでも、言いよどむリンダに、困った空気が漂う、
王子を救い、褒章を与えようと言うのだ、
普通、言いふらす事はあっても、言いよどむ理由などないはず。