5-1 栄光の代償
シードラゴンの急襲があって3日後、
王宮には、王、王子、そして大臣とその部下数人が、
謁見の間に集まっていた。
招集されたのは、王立第一冒険者養成学園の学園長、リンダ。
大臣が重々しく口を開く。
「さて、リンダ殿」
「は、はい」
普段は余裕に溢れ、多くの生徒、教師のトップに立つ、
威厳が漂うリンダだが、王が目の前にいるとあって、
その存在は小さく見えた。
普通、1学園の学園長が、王に謁見するなどあり得ない、
それだけ、事が重要である事を物語っていた。
「シードラゴンが現れた事は伝え聞いていると思うが、
そこで、王子を救った『治癒師』がいる、
その時は、高度な魔法を使い、お疲れと思い、
ご自宅へ送り届けたが、その後、何の連絡もない。
王は、その『治癒師』に褒章を与えたいと思おいだが、
なぜか、どこの誰か知れないのだ」
そう言って、一度言葉を切る。
「信じられない事だが、騎士団長ガルファの証言によると、
王立第一冒険者養成学園の制服を着ていたと、
心当たりがあるなら、ぜひ教えて欲しい」
そう、大臣がリンダを促すが、少し唇が震えるだけで、
リンダから、言葉が出る事はなかった。