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「リザード中でも、特に動きが早く、
こちらの攻撃が読めるって言われているモンスターよね」
単に、会話に入り込むふりをして、情報をひき出せないか試してみる。
すると、『武闘家』と思われる男が話し出した、
お勧めの料理とビーラーを2つ、頼んでいた所を見ると、
かなりの上級者だと思われる。
その証拠に、周りにいる人も、男の発言に注目していた。
「あいつは手ごわい、攻撃が全然当たらない上、
細かい攻撃を何度も繰り出してくる、
しかも、その一撃一撃のダメージが結構でかい」
どうやら、この『武闘家』はエテルナリザードと戦ったらしい。
「しかし、一度だけ攻撃が当たった事がある」
おおお、と周りから声が上がる。
「他のモンスターが崖から石を落とした時、過剰に反応して、
スキができたんだ。
あいつは耳が良すぎる、それが逆にスキになったんだな」
へえと、感心をする振りをして、心の中で良し!と思う。
モンスターはある一定の行動をしたり、一定の特徴があったりする。
一匹のモンスターが耳が良すぎるなら、他の個体も、
同じ特徴を持っている可能性が高い。
「それでも、その一撃がやっとだったからな、
ギルドでも討伐依頼の値段が上がるのは無理ねえな」
すると、倒せたら、がっぽりだろうにな、と冒険者達の
豪快な笑い声が響いた。