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「昨日、シードラゴンが出たって本当か?」
「ああ、海の市が大変だったそうだ、
目撃者も大勢いる、間違いない」
「それで、よく被害が出なかったな」
「まあ、輸入船がいくつも駄目になったから、
被害がなかったらといったら嘘になるが、
天災級のモンスターが現れた事を考えると、
よく無事だったと思うよな」
「ああ、街が半壊してもおかしくない」
「聞いた話だと、王子、『勇者』『賢者』そうそうたる、
メンバーで倒したって話だ」
「まあ、俺らじゃ、傷一つ付けられないからな」
「それと、『聖者』がいたらしい」
「『聖者』だと?」
「ああ、毒に侵された王子を救ったとか」
「シードラゴンの毒を解毒できる『聖者』か、セルディーユ様か?」
「いや、若い女の人って話だ」
「それはあり得ないだろう、聖者になるには何十年とかかる、
若くてはありない」
「いや、でも目撃者がだな・・・」
「あり得んて」