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初級全体回復魔法と、最高位解毒魔法が使える遊び人など、
何の役にも立たない。
王宮にも最高位解毒魔法を使える人がいないので分かるように、
大抵の毒は高級解毒魔法で対応できてしまい、
ほとんど需要はない。
つまり、私が使えるのは初級全体回復魔法のみ・・・
そう考えると、涙が頬を伝う。
後悔はしていない。
同じ場面に遭遇したら、また同じ事をするだろう。
でも、
冒険者かどうかで、レベルの上がり方が違う、
『賢者』はおろか、普通の『治癒師』としても、
大して役には立たない人間になってしまった自分。
目標、夢、希望。
それらが、一気に塗りつぶされ。
胸に大きな錘が乗っている気分になり、
息をするのも苦しくなる。
「うう・・・」
とうとう、こらえきれなくなり、嗚咽が漏れる。
「うわああああん」
母親が仕事でまだ帰ってこない事も、気が緩む理由だったのだろう、
それから、1時間ほど、声を上げ、泣き続けた。