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市を見渡すと、次々、皆が膝を付き、祈りのポーズをする、
祈りはほんの少しだが、魔力を増幅させる。
皆を救った王子が助かって欲しいと、
全ての人の気持ちに、じんと胸が熱くなる。
「グオオオオオオン」
それまで、声を上げ続けた王子が、
一際大きな声を出し、それからまったく声を上げなくなった。
「王子!」
「王子様!」
悲壮な声が海岸に響く。
王子は毒が周り、声を上げるHPも失い、
手足をぴくぴくと動かすのみになった。
このままでは、死んでしまう!
そう思うと衝動的に叫んでいた。
大司教様の前に行き、叫ぶ。
「私に、最高解毒魔法を授けて下さい!」
「おぬし」
大司教様が驚いた顔をする。
周りにいた『勇者』達も、私を見ているのが分かった。