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頭を上げて見ると、シードラゴンの右手に、
トラに似た生き物が噛みついている、そこから、
電撃を流し込んでいるのか、右手がバチバチと音を立てている。
「王子だ!」
「王子が来て下さったぞ!」
市場から歓声が上がる。
王子?確か、王族は人と霊獣、2つの姿を持つ。
なら、あのトラに似た生き物が霊獣の姿をした王子なのだろうか。
「来て下されたか」
大司教様がぽつりと呟く
「なら、あの霊獣が?」
「ああ、王子のユリウス様だ、
王子は勇者でもある、シードラゴンを倒すのに、
これ以上の人はいないじゃろう」
その言葉に、胸がトクンと跳ねる、お目にかかるのも初めて、
実在するのは知っていたが、シードラゴン並みに、
遠い存在の王族。
その王族が、目の前にいる。
王子はシードラゴンに少しづつダメージを与えていく、
シードラゴンも腕を振り回して、攻撃をしようとするが、
空を飛べる王子の方が遥かに動きが早く、攻撃が当たる事はない。