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どうやら、時間稼ぎもあまりできそうではない。
嫌な予感だけが大きくなっていく、
自分より遥かに強い者、圧倒的な力の差がある者の敵意。
一段と波が高くなったかと思うと、
輸入船が大きな音を立て、横に倒れた、
市場に緊張が走る。
悲鳴、走り去る音、
市場はパニックに陥っているようだった。
それでも、大きな混乱にならないのは、
大司教様と、市場の騎士などが、
大丈夫と少し嘘も交えて、皆を統制しているからだろう。
そうしてるうちに、海面に大きく黒い影が浮かぶ。
来る!
立っているのもやっとの恐怖に、体を抱きしめる。
その瞬間、凄まじい音を立てて、
シードラゴンが姿を現した。
体全体が青い鱗に覆われた、伝説のモンスター
すぐさま、シードラゴンが大きな口をあけ、
水魔法の攻撃をしかけてくる。