16-3
ガルがエターナルリザードを討伐して、帰って来たと聞いて、
久しぶりに酒場で会う事にした。
相変わらずのカウンターの隅の方である。
「おかげで『聖者』になれたわ」
そう報告すると、
「その割には、静かだが・・・」
普通、上級職が生まれただけでも、冒険者達の話題に上り、
大騒ぎになったりするのだが、ロディフィアで転職して、
正解だったと思う。
祭司のあの状態と、今の酒場の状態を思うと、
祭司が自慢げに『聖者』の転職をしたと自慢しても、
誰も信じなかったと言う所だろう。
年齢と、『聖者』のなり方が普通ではないので、
そう考えるのが自然である。
「後で、最高位回復魔法かけるから」
そう言ってウインクすると、ガルは、
「おお」
と戸惑っているようだった。
『勇者』の魔導書を取得したお陰で、大幅にスキルポイントを
入手し、最高位回復魔法を使えるようになったが。
最高位魔法を複数使える人は少ないので、
ガルの反応は当然と言えば当然である。
ガルにとっても、何とか『聖者』なれたとしても、
最高位回復魔法の習得は、無理だと思っていたのだろう、
それでもパーティに入れてくれた事を本当に嬉しく思う。