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そうですね~と答える私の肩を、ぐいっと王子が自分の方へ引き寄せた。
「グノワール卿、気持ちだけにしておく」
なぜか王子が答える。
もちろん、グノワール卿も軽い気持ちで言われたのだろう。
王子の反応にきょとんとしてられた。
「ははは、これは失礼しました、
そう言えば、マリエッタ様は王子を名前で呼んでいらっしゃいましたな、
これは野暮な事を」
なおもぐいぐい自分に引き寄せようとする王子に、
痛いです!と抗議しながら、何とか王子から離れようとしてた。
「あの時は咄嗟で、申し訳ありません」
王子の名前を呼んでいいと許可はもらっているが、
それは二人だけの時だけだ、本来なら、不敬罪に当たる。
「夢中だったのだろう、気にしてない」
やっと、王子が腕の力を緩め、グノワール卿に向き合った。
「私は王子にずっと苦言をていしてきました、
王子は人に冷たい印象を与える、それでは人はついてこないと」
そう言うグノワール卿を見る。
「しかし、もう大丈夫なようですな、十分人間らしい所がおありだ」
そして、私を見つめて、真剣な表情で告げる。
「これからも王子を、この国をお願い致します」
あまりにもトンデモナイコトを頼まれ、返事できずにいたが、
なぜか王子が、
「もう、大丈夫だ」
と答えていた。