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「そんな・・・私のした事が息子を追い詰めていたなんて・・・・」
体を丸め、狼狽するグノワール卿に優しく話かける。
「大丈夫です、間に合ったのですから」
その言葉に、グノワール卿ははっと、顔を上げる。
「後、どのぐらいで、息子は死んでいたのですか?」
少し迷ったが、正確に答える。
「あのままでは、今夜遅くは、遅くても、明日には
亡くなられていた事でしょう」
「ああああ」
グノワール卿が苦しそうな声を上げる。
そして、ソファから滑り落ち、
「本当にありがとうございます」
と深く頭を下げた。
そんなグノワール卿が再び落ちつかれるのを待って、
話を続ける。
「どう感謝したら良いのやら、そうだ、マリエッタ様、
息子の嫁に来て下さいませんか?
一代とは言え、貴族の家系、肩身の狭い思いはさせません」