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魔法使いの俺、日本に転生  作者: アウストラロピテクノロジー
6/13

誘拐

 タバコ違反狩りを一時休止することを決めた俺はこれから何をするか悩んでいた。

 今までの活動時間は主に夜遅くだったため夜型人間になってしまった俺は終電前の駅前をぶらぶらしながら視覚魔法を使用して面白いことがないか広範囲を観察する。


 しばらく周りを観察していると、駅前からかなり離れたところで気になる女性を発見した。女性が気になるというか1人で歩いているその女性の後ろから跡をつけているワゴンタイプの車がいるのだ。女性はそれに気づいていないようで細い道に入っていく。


 何かが起こりそうな予感がした俺は転移魔法を使用して近くまで転移する。

 転移してすぐに先ほど女性をつけていた車がすごい勢いで女性に近づき、止まったかと思うと男が2人出てきて女性を車に連れ込み走り去ってしまった。


「こ、こんなことが未だ現実にあるのか・・・」


 俺はまさかの事態に一瞬動揺するが視覚魔法を使用してその車を追跡する。透過魔法も併用して中を覗いてみたが、男たちが暴れる女性の口を塞ぎロープで体を縛っている。

 バレないように透明魔法を使用して自分の姿が見えないように透明になると飛行魔法で後を追った。

 車は30分ほど進み、人気のない大型の倉庫に入っていった。


 しばらく様子を伺うと車の中からぐったりした女性を担いだ男が出てきた。人数は運転手1人に女性を後席に押し込んだ男1人、女性を担いだ男の合計3人だ。

 男たちはニヤニヤしながら倉庫内の事務所のような場所に入っていった。


 今の状況が父さんから聞いた、母さんが誘拐された時と酷似していることに俺は動揺を隠せなかった。

 人を殺してもボコボコにしてもなんとも思わないのに、今は心臓がバクバクと鳴り響いて怒りが込み上げてくる。


「もしレイプだったら絶対に許さねえ」


 俺は透過魔法で中の様子を伺う。

 すると男たちはぐったりした女性を乱暴にソファに投げ捨てると服を脱がせ始める。なんとか抵抗する女性だが男3人の前では無力のようで来ていた上着を破り捨てられ下着が露わになり、これが見ていられる限界だと感じた俺は急いで部屋に駆け込む。

 声をかけることもなく強化魔法を使用して男たちの顔面に拳を叩き込む。


「ぐうぇっ!?」


 壁際まで吹き飛ばされた男たちに拘束魔法をかけ動けなくさせ、急いで女性のロープをほどき自分が来ていた上着を渡す。


「大丈夫ですか?」


「あっ、あっ、あぁあ・・・ありがとう・・」


 女性は感情が追いついてきたのか涙を流し始める。


「今こいつ等をとっちめるから、少し待っていてください」


 そう言った俺は男3人を部屋の外に連れ出しボコボコにする。


「やっやめてくれぇ!死んじまう!」


「死ねばいいんじゃないか?いや、死ね」


 男たちの懇願を無視して死なない程度に身体中の骨を折った俺は、洗脳魔法を使用して男たちがやろうとしていたことを記憶から読み取る。


 こいつ等は日本ではかなり上位の大学生で、親も金持ちなボンボンらしい。大学生活で遊びすぎて留年を繰り返し、サークルはいわゆるヤリサーに所属して欲望のままに生きてきたクズだ。

 ヤリサーでは満足できなくなり、さらに留年を繰り返した結果親からも煙たがられたこいつ等は頭のネジがさらに外れて、今回の犯行に及んだと言うことがわかった。


「どうして恵まれた環境で生まれ育っているのに、こんな人間が出来上がるんだ?不思議だよなあ」


 前世でも悪い奴らはたくさんいたが、悪事を働く奴らは貧困や復讐が原因だったことが多かった。確かに頭がおかしい貴族なんてのもいたがそいつ等は結局領地経営がうまくいかずに没落していくか領民から反乱を起こされて殺されていた。

 まあ俺が知らないだけかもしれないが。しかし日本は、この世界は調子に乗ったクズが多すぎじゃないか?


「まぁそれはさておき、お前等には罰を与えるよ。二度とこんなことができないようにしてやる。去勢だ」


 俺は男3人の股間に重力魔法を使用して全方向から圧力をかけていく。じわじわ圧力を上げていくと男たちが叫び出したし最終的に白目を剥いて痙攣しながら気絶した。

 放置しても死なない程度に治癒魔法をかけてやり、洗脳魔法で俺とあの女性の記憶は消去しておく。


 男たちの始末を終えた俺は女性の元へ戻ろうと後ろを振り返ると、ドアから顔を出す女性と目があった。


「あっ」


「あっ」


「み、見てました?」


「はい・・・。見ていました・・・」


 俺の問いかけに気まずそうに返事をする女性。

 相手が相手とはいえ俺がとんでもない暴力を振るってしかも不思議な力を使っているところまで見られてしまった。安全なところまで行って洗脳魔法で今日の記憶を消そう。


「と、とりあえずこんな場所にいるのもなんだし外に出ませんか?」


「わ、わかりました」


 前世の記憶ではこう言った時はとりあえず酒場とか食堂に行くもんだけど・・・。とりあえずファミレスにでも行けばいいかな。俺まだ未成年だし・・・。


 ていうか暗かったのと助けることに夢中で気がつかながこの女性、かなりの美人さんだ。艶のある黒髪が肩まで伸びており、肌は光が透き通るように白く、小顔で意思が強そうな目、凛としながらも色気がある唇。女優さんか何かかな・・・?


 そんなことを考えながらファミレスに着き、ホットコーヒーを頼んで一息ついたところで女性が話し始めた。


「あの!先ほどは助けてくれてありがとうございました!」


「いえいえ。俺がやりたくてやったことだから気にしないでください。でも無事でよかったです。怖かったでしょ?怪我とかはしていませんか?」


「はい。おかげ様で無傷です」


 そう言った女性は少し無理をしたような表情で微笑んだ。まだ恐怖が残っているのだろう。


「あっ!自己紹介がまだでしたね。私の名前は如月(きさらぎ)真琴(まこと)って言います」


「これはご丁寧にどうも。俺の名前は鈴木創介って言います」


「鈴木創介さんて言うんですね・・・。この御恩は一生忘れません」


「そんな大袈裟な・・・ってかなりの一大事でしたもんね。ははは」


「そうです。本当に一大事でした・・・。まさかこんなことが起こるだなんて・・・」


「今時こんな犯罪を犯す人がいることに驚きです。今後はあんな人気のない暗い道を歩かないように気をつけたほうがいいですよ」


「はい・・・。今後は気をつけます。ところでその、鈴木さんは格闘競技か何かをやられている方なんですか?私を襲った男の人たちをすごい勢いで吹き飛ばしてましたよね」


 お、格闘家と勘違いしてくれたか。格闘家ということにしておこう。


「まあそんなところです。腕には結構自信があります」


 まあ強化魔法ありきでの話しだが。体も鍛えてはいるが3対1ともなると素の状態じゃかなりきついと思う。

 そんな会話をしながらコーヒーを飲み終え、女性こと如月真琴さんもかなり落ち着いたようなので解散することにしよう。


「まあ本当にあなたが無事でよかったです。そろそろいきましょうか。この時間を1人で帰るのもあれでしょうしタクシーでも捕まえましょう」


「はい。今日のことは本当にありがとうございました。よければ今度改めてお礼をしたいので連絡先を教えて貰えませんか?」


 おっと。この後洗脳魔法で記憶を改竄しようと思っていたがどうしたものか。今後会うことになれば今記憶を改竄してしまうと辻褄が合わなくなった時に揉め事になってしまう可能性が高い。

 そして数時間程しか一緒にいなかったが如月真琴さんは俺のドストライクであることに気がついてしまった。

 うーむ。ここは下心という本能に従うことにしよう。


 ということで俺は如月真琴さんと連絡先を交換した。


「必ず連絡します!今日は本当にありがとうございました!」


 別れの挨拶を告げ、如月真琴はタクシーに乗って去って行った。


「まさか俺の母さんと似たような被害に遭っている人を助けるなんてなぁ。なんだか運命を感じてしまうなあ。しかしすごい美人だったなぁ」


 俺は物思いにふけりながら、歩いて帰路についた。


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