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魔法使いの俺、日本に転生  作者: アウストラロピテクノロジー
3/13

復讐

 俺の両親を苦しめたクソ野郎の親の会社である大企業の名前は富士部商会というらしい。父さんが死ぬ直前に聞いておいた。

 早速手に入れたスマホで調べたところ年商1000億というよくわからないがすごい稼いでいるであろう会社だった。社長の名前は北条真一。俺の父さんが殺した奴の父親だ。

 父親は関係ないだろって?知ったこっちゃないよね。俺がただやりたいだけだから。


 早速俺は復讐計画を立てることにした。計画を立てるためにはまずは視察しなきゃね。

 もちろん足がつかないように最大限配慮する。俺の強みはただ一つ魔法が使えること。透過魔法と視覚魔法を駆使して家の中から社長の行動を探る。

 透過魔法は物体を透視することができ、視覚魔法は自分の視野を広げることができる。俺の実力でいけば時間と魔力さえ使えば距離的に言うと東京都内の半分近くを見渡すことができる。

 完全犯罪ってやつだな。正直なんでもできてしまうと思う。


 前世の世界では対策魔法が編み出されていたし街の中では使えなかったため魔物を狩ったりするときぐらいしか使うことがなかったが今の世界じゃ使いたい放題だ。

 まずは地図サイトのゴーグルマップで調べた会社を魔法で覗き見る。するといかにも社長がいそうな部屋を発見したので様子を伺う。


「しゃっ社長・・・」


「まぁまぁ・・・」


 年齢が60代であろう男がだらしない表情を浮かべながら嫌がる秘書らしき女性のお尻を撫で回している光景が映し出された。

 おいおい。こんなことある?こういうのってとっくの昔にダメになったんじゃないんだ。そういうもんなのかなあ。俺にこの人の血が流れているかもしれないと思うとゾッとする。


 それから2週間ほど社長の行動を観察した。結論から言うとクズだった。商売の能力はあるのかもしれないがセクハラは当たり前でパワハラも酷かった。と思う。俺はこの世界の常識には疎いが今までそれなりに勉強はしてきたし社長以外にも観察していたがこの社長は極めて酷かった。社員の陰口を聞いたが女癖が悪すぎて離婚して独り身らしい。


 こんなセクハラやパワハラが許されるなんて権力ってすごいんだなあ。

 よし、殺そう。まともそうな人だったらちょっと考えようと思ったけど考えるまでもないレベルだね。

 普通の人は人を殺すことに対して抵抗があるかもしれないが俺は前世で人を殺したことがあるのであまり抵抗がない。殺したことがあると言っても盗賊退治や戦争でだが。

 

 ということで俺の暗殺計画は今夜決行する。作戦は簡単。転移魔法でやつの所にワープして何かしらの魔法で息の根を止める。


 時刻は23時、今回のターゲットである北条真一は高級クラブで金に物を言わせて気持ちよく飲んできて帰宅し、シャワーを浴び終えたところだ。俺は転移魔法を使い寝室で一息つく北条真一の前に転移した。すかさず空間魔法で部屋を空間ごと固定させ外に情報が漏れないようにする。


「っ!?誰だっ!?どこからっ!?」


 突然若い男が目の前に現れて驚く北条真一。


「こんばんは。俺の名前は鈴木創介と言います」


「鈴木創介!?知らん!誰なんだ!?おい!誰かっ!」


 北条真一は助けを呼びながらドアに駆け寄り開けようとするがドアノブが動かずにドアを開けることができない。


「何をやっても無駄ですよ。あなたはこの部屋から出ることはできません」


「くっ!このっ!何が目的だ!」


 ドアを背にして臨戦体制になり創介に質問する。


「簡潔に言うと復讐と確認です」


「復讐だと!?私がお前みたいな若造に何をしたと言うんだ!」


「あなたが僕に何かしたわけじゃない。あなたの息子だった男が俺の両親にひどいことをしたんだ」


「わ、私の息子・・・」


 色々と心当たりがあるのか言葉を詰まらせる北条真一。


 言葉を詰まらせ息を呑んだ隙に創介は手を北条真一へと向けて鑑定魔法を使用する。

 鑑定結果を知り落胆する創介。


「あなたは俺の祖父になります」


 北条真一は創介の祖父ということがわかった。それと同時に自分の本当の父親が、自分の母親をストーカーして、しまいには攫って襲った男だということが判明した。


「私がお前の祖父・・・だと?」


「心当たりはあるんじゃないですか?あなたの息子がやったことは知っているんでしょう?そしてなんで死んだのかも」


「ま、まさか・・・」


「俺はまさかの、あなたの息子が襲った女性の子供で、あなたの息子の子供です。つまりあなたの孫ですね。はぁ最悪だなあ」


 自分の本当の父親が母親を襲った3人のうち誰かだとはわかっていたが、まさかの主犯格が父親だったことを知り創介は最悪な気分になる。


「お、お前が私の孫だという証拠なんてあるのか!?」


「DNA鑑定をしたらわかりますよ。する機会なんて与えませんけどね」


「くっ!あのバカ息子め!死んでまで私に迷惑をかけおって!」


 怒鳴り散らす北条真一を無視して創介は拘束魔法を使用して北条真一の体を拘束する。


「な、なんだ!?体がうごかないぞっ!」


「あなたの人生はここで終わります。自分がしてきたことを恨んで死んでください。愚かな息子を育ててしまったことがあなたが死ぬ理由です」


「や、やめてくれ!なんでもする!金ならいくらでもやるっ!女も酒も買えるぞ!たっ助けてくれ!」


「無理ですねえ」


 創介はそう言って風魔法を使用し、自分の祖父である北条真一を窒息させる。

 拘束魔法に抵抗する力が伝わってくるが緩めることはない。数分が経ちやがて北条真一は死亡した。


「さようなら。おじいちゃん」


 創介は動かない北条真一にそう言い残して転移魔法で自宅へと帰る。

 引っ越してきたばかりだが見慣れてきた部屋を見渡し、ソファにどかっと腰掛けて一息つく。


「はぁ。一番最悪なパターンだ。自分の父親が母さんを襲ったやつだったなんて。しかもその祖父である北条真一も少しの間しか見てないけどクズ野郎だったなあ。はぁ」


 創介はそっと手を胸の前で合わせて目を瞑る。


「父さん母さん。二人はこんなこと望んでないと思うけど、俺は自分のために二人の敵を取ったよ。こんな息子でごめんな」

 

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