計画
「父さん、お願いがあるんだけどいい?」
「何だ、言ってみなさい」
「隣の家の子供のリナって知ってる?」
「もちろん知ってるとも。リナがどうかしたのか」
「昨日ね、リナと友達なったんだけど一緒に強くなろうって約束したんだ」
「いいことだな」
「それでね、俺が四歳になったら始めてくれる剣術の修行にリナも連れてきて一緒にやってもいいかな?」
これは俺が独断で決めたことではなく昨日リナと相談して決めたことだ。
「そうだな、カークとローラの了承が得られたらいいぞ」
「分かった!ありがとう!」
この世界では身体強化があるためか、力仕事は男で決まりといったことはない。騎士や冒険者にも女性は半分くらいいるらしい。
「それと父さんって体術ってできる?」
「すまんな、体術はあまり得意ではないんだ」
「そっか。じゃあこの村で体術ができる人って知ってる?」
「この村の中だと知らないな。すまん」
「ううん、大丈夫」
俺はいつもの日課をこなしに家を出た。
家を出て昨日と同じように村を走ってから山に行く。そしたらリナがもう来ていて枝を振っていた。その姿はとても綺麗で思わず見とれてしまうほどだった。
「リナ、おはよう」
「おはよう」
「父さんがリナの親御さんから了承をもらったら一緒に剣術を教えてもいいって言ってたよ」
「良かった」
剣を教えてもらえるということでリナはホッとした様子だった。
「親の了承は大丈夫そう?」
「もう、もらった」
リナは昨日のうちに許可をもらっていたらしい。
「今日はこれからどんなことをしていくか決めたいんだけどいいかな」
「うん」
「まずは四歳までのことを決めようか」
「分かった」
「四歳までは魔力を強化しながら体術を鍛えていこうと思うんだけどいいかな」
「剣と魔法は?」
「魔法は失敗したら危険なことがあるから魔導士しか教えちゃダメなんだと思うんだ。だから魔法は学園に行くまで我慢しよう。そして、剣は四歳になったら父さんに教えてもらえるからそれまでに変な癖をつけちゃだめだと思うんだ」
「分かった」
「他に質問はある?」
「何で体術?」
「体術である理由の一つは体を鍛えられるから。そしてもう一つは、武器も魔法も使えないときに使えるのは自分の体だけだからだよ」
「分かった」
「俺がやりたいことは言ったけどリナは何かやりたいことある?」
「読み書き」
「読みは俺ができるから教えてあげられるけど、書きは親に教えてもらうってことでいい?」
「読みも」
「ああ、確かにどっちも親に教えてもらったほうが効率いいかもね。じゃあどっちも親に教えてもらうということで。他にやりたいことはある?」
「ない」
「四歳までは午前に魔力の訓練で午後からは体術をするってことでいい?」
「うん」
「四歳からは剣術がどのくらいかかるか分からないから始まってからでいいかな」
「分かった」
「八歳になったら俺は冒険者になるつもりだけどリナはどうする?」
「私もなる」
「パーティ組む?」
「そのとき考える」
「そうだね、その時考えよっか。ソロのほうが良いこともあるかもしれないし」
本心としては一緒に組んでキャッキャウフフな冒険生活をしたかったが仕方がないだろう。血の涙を流しながら我慢しよう。まぁ、リナがキャッキャウフフするところなんて想像できないが。
「うん」
そうしてこれからの計画を考える時間は終わった。