飛び級の仕方
「リナ、相談があるんだけど今大丈夫?」
「大丈夫」
「実は、今日魔法を試していたらすごく強い魔法を使えるようになったんだ」
「おめでとう」
「ありがとう。それでね、王都のダンジョンで試してみたいからさ、一緒に王都に行かない?」
「いいけど、お金がない」
「大丈夫、いい考えがあるんだ。お金もたまって冒険者ランクも上がる考えがね」
「そんなにうまくいく?」
「多分大丈夫さ。最悪お金だけはたまるから安心していいよ」
「分かった」
「明後日あたりでどう?もしかしたら数日かかるかもしれないけど」
「準備しておく」
「じゃあ明後日ね。たのしみにしてて」
次の日、冒険者ギルドに来た俺は昨日考えたことが実現できるか確認しに来ていた。受付嬢さんの邪魔にならないように昼間に来たけど、何人かの冒険者がいた。ローブを被っているからか不躾な視線が集中しているが気にしないようにする。
「ナーシャさん、今大丈夫ですか。聞きたいことがあるんですけど....」
「はい大丈夫ですよ、リグさん」
「このローブ悪目立ちしてますかね?」
「目立ってはいますね。冒険者の中でも少し話題になっていますよ。それで質問というのはローブについてですか?」
「さすがに違いますよ。えっとですね、冒険者ランクって飛び級できますか?」
「飛び級ですか?」
「例えばとんでもなく強い魔物を倒したとかで」
「ああ、できますよ。貴族様や高ランク冒険者からの推薦やランクが高い魔物を倒したとかで、今のランクに実力があっていないと判断された場合は飛び級できますよ。高ランクになるほど飛び級は難しくなりますね。ああ、飛び級でもBランク以上になると試験を受けなければなりませんよ」
「そこはずるできないようになっているんですね。それで僕の場合飛び級ってどれくらいの魔物だとできますか?」
「そうですね....ジグさんの場合、この辺だとグリフォンやコカトリスでCランク、ワイバーンがBランクといったとこですかね。たまたまということもありますから、何回か討伐証明を持ってこないといけないかもしれませんね」
「そうなんですね。それで、その魔物ってどこにいますか!」
「もしかして倒しに行くつもりですか?ホブゴブリンを倒したくらいで調子に乗っちゃだめですよ。今あげた魔物はBランク以上の魔物なんですから」
「分かってますよ。聞いてみただけです。それでどこにいますか?」
「怪しいですね...職務上答えなければならないのが嫌なところですね。グリフォンとコカトリスはコリナの森の奥地、ワイバーンは大山脈に生息しているとされてます」
「されている?」
「魔物の生息地は冒険者ギルドでもできるだけ把握していますが、この辺の高ランク冒険者は王都に行ってしまうんですよね。それであまり把握できていないのが現状です」
「そうなんですね。ありがとうございます」
「絶対に行っちゃだめですよ!両方とも危険地帯に認定されていて他の魔物も強いんですから!」
「分かってますよ。さっきも言った通り聞いてみただけですよ。まぁ偶然出会ってしまうことはあるかもしれませんが」
「絶対行くつもりですよね!?」
ナーシャさんはまだ疑っているようだが俺は帰ることにした。まぁ、その心配の通りなのだが。飛び級ができるならしてしまったほうが良い。薬草採取などの低ランク依頼は経験できないかもしれないが、今は早くCランクになりたい。低ランク依頼を受けたくなったらペナルティ覚悟で受けよう。その時にはあまりランクを気にしなくなっているだろうから。
俺は早くランクを上げてお金をためて実力を上げるのに集中したいのだ。当たり前だが、ランクが高いほど報酬が高くなってくる。とりあえずCランクまで飛び級したい。グリフォンかコカトリスを何体か狩って上がろう。山登りはしたくない。
金は魔物の素材代で稼ぐとする。依頼料は貰えないが、魔物は捨てるところのほうが少ないから高ランクの魔物だったら結構稼げる。死体を丸ごと持ち帰れば解体所で解体してもお釣りがくるだろう。
俺は今まで使ってなかったが、冒険者ギルドには解体所がある。素材の買値の2割をとる代わりに解体してくれるところだ。
冒険者ギルドは仲介所みたいな場所だ。依頼を受ける人を探したり、素材を買い取って工房に売るなどして、仲介料をもらって経営しているらしい。父さんから聞いた話では、自分で解体をしたほうが儲かるので大体の冒険者はその場で解体して高値の部位を選ぶらしい。戦ったことがない魔物は手探りで解体するか、街が近ければ解体所に持っていって解体しているところを見て覚えるらしい。俺はめんどくさいからしないが。
俺が依頼に出たのは二回だが、その二回ともゴブリンの耳と魔石で袋をいっぱいにしていた。だから解体もしなかった。ゴブリンの睾丸なんかは精力剤になるそうだが、知らなかったので回収していない。
だが今回は金が要るので解体所を利用しようと思う。Bランクの魔物となれば死体が丸ごと素材になるだろうから下手に解体して価値を下げたくない。肉とかはダメになるかもしれないが、数体狩ったら全力で帰ってくるつもりなので大丈夫だと信じたい。Cランクまで上がらなかったり素材代が少なかったりしたら何回か行けばいい話だしな。何とかなるだろう。
「そうだ、荷車を買いに行かなきゃな。いちいち抱えて動くのは面倒だからな。引くのは俺として魔物がどれくらいの大きさで思いかによるな。うーん、念のため荷馬車のほうが良いか?」
俺は念のため荷馬車を買おうとしていたがお金が足りなくて荷車が限界だった。ぼろい奴だったが、所持金がほとんどなくなった。
所持金が無くなるということもありつつも準備は終わった。この作戦が失敗したら、また最初からだな。




