転移魔法
魔法と科学が混ざり合う事の危険性は十分にわかったと思う。だが、教えなくてもいずれはたどり着くことだ。まだ倫理観が発達していないこの世界に科学を持ってくるのは危険かもしれないが、科学が発達するころには倫理観が発達しているだろう。
いろんなことを考えていたらあたりが赤くなってきていた。
「もう夕暮れか。帰らなきゃな。毎回通行料払うの面倒なんだよな。お金もあんまり持ってないし」
独り言をつぶやいて帰ろうとする。そんな俺に天啓的な考えが降りてきた。転移魔法で入れば通行料を払はなくていいのでは!?空間の把握をしっかりしないと転移の魔法は危険なら、空間を把握する魔法を作ればいい。それができれば通行料を払わなくてよくなる!早速試してみよう。
「『空間把握』」
俺を中心として三次元で周りを把握していく。今の俺では一キロぐらいが限界であった。前世の常識からすると直径一キロの範囲を立体的に知覚できるのは凄いことだが。距離感覚があっているかどうか確かめる。目をつぶって目の前の木に触れてみる。俺が知覚している木と実物の木の距離に誤差がないこと確認する。
「よし、これなら問題なく転移できそうだな」
それにしてもよく脳がショートしないな。これだけの情報量だ。脳を強化しているとはいえパンクしてもおかしくないと思うんだが。これに転移を合わせて大丈夫だろうか?今のところ頭が痛いなどの体調不良はない。まぁ大丈夫だろう。
次は転移魔法のイメージを決めよう。パッと転移していきなり目の前の景色が変わるタイプかよくわからん門みたいなものを通って移動するタイプか。どちらにしようか。これは予想だが、一度イメージした魔法は変えることが難しいと思う。それじゃあ違う魔法だと思えば両方使えるのか?それはまた今度検証しよう。
よし!今回は門を作るタイプにしよう。一瞬では移動できないが攻撃にも使えるだろうしな。ラノベ読んでて、門で転移している最中に門を閉じたらどうなるかずっと気になってたんだよな。
空間の歪みみたいなもんをイメージして
「『転移』」
とつぶやくと目の前に楕円形の空間が二つ現れた。中は虹色に光っているが、こちらに光が漏れ出てくることはない。
まずは物で試してみようと思う。落ちていた木の枝を入れてみた。するともう一つのほうの空間から出てきた。空間はゼロ距離でつながっているようで枝が短いなどということはなかった。枝を入れながら空間を閉じてみる。枝が音もなく切れた。断面は綺麗でくっつければ切れ目が分からないほどだった。
「ふむ。これは最強の攻撃じゃないか?」
俺はこれの対抗手段を思いつけなかった。もし自分以外に転移魔法が使える奴がいたらそいつのお世話にはなりたくないと思った。
「それにしても転移魔法はずいぶんと魔力を食うな。今の俺だとあまり使えないな」
転移魔法についても研究が必要だ。空間を通る体積によって使用する魔力量が変わるのか。それとも転移する距離で使用する魔力量が変わるのか。その両方か。試したいことがたくさんだ。だが今は我慢だ。今は時間がない。学園に行ったら暇な時間が増えるだろうから、その時にでもやろう。
「いろいろ試しすぎたな。もう辺りが暗い。街の門もしまったかな」
転移魔法が手に入ったのであまり関係はないがな。心配なのは街に結界か何かが張られていて、転移魔法では入れないか、転移魔法で入ったことがばれるということだ。まぁ、俺が見た感じ何も張られていなかったので大丈夫だと思う。
張られていなかったらこの世界では転移魔法は一般的ではないことが分かる。一般的ではないが使える者がいることは予想しておくべきだろう。俺以外にも日本人がいるし、魔法を極めた者もいるかもしれないからな。
それはそれとして、転移魔法の使い方としては街の近くまで走っていき門番から見えないとこで転移魔法を発動して街に入ろう。
「通行料の問題も解決したことだし早速帰りますか」
コリナの森から出た俺は全力で帰った。
「早速試してみますか」
新しい魔法を実際に使ってみるのはワクワクするな。空間把握で人がいないところを探す。空間把握はやってみたら使えたが、原理が分からんな。想像はしたが、アニメでちらっと見たものを真似しただけだからな。何でできるんだか。まぁ使えるんだから、使わせてもらうが。
「この辺がいいか」
ちょうど人が通らなそうな道を見つけた俺は転移の門を開いた。そこは街の外周部でスラムのような場所だった。
「小さな街にもこんな場所があるんだな。外周部には来たことがなかったが探索のしがいがありそうだ」
こういう場所に才能を持った奴がいるのが定番なんだよな。この街の規模じゃいないかもしれないけど、王都にだったらいそうだな。この国は学園に子供を集めるからそれより前に見つけるか学園に行かない奴じゃないと国や貴族にとられるだろう。学園に行かないってことは、戸籍がない奴だから、スラム街とかにいるだろう。
「今は関係ないな。ギルドに寄って、宿に帰るか」
俺はギルドで報酬をもらい宿に帰った。




