科学の危険性
魔法がある世界に科学を持ち込むとどうなるのかという問題だが、俺の予想ではまず魔力発電所が作られる。魔力で発電をするところだ。魔力を直接エネルギーに変えることができればいいができなくても魔法を使えば火力でも風力でも水力でも発電することができる。
そうなると一番問題なのが誰が魔法を発動させるのかという問題だ。俺は奴隷が使われるのではないかということを危惧している。この世界で奴隷は人ではないのだ。誰かの所有物なのだ。つまり奴隷をたくさん持っている奴が偉くなるということが予想される。しかも奴隷に人権はないので無理やり魔法を使わされるということもあり得るかもしれない。
もちろん回避の方法はいくらでもある。倫理観が発達して奴隷が無くなるとか、税を金から魔力に変えるなどだ。だが二つとも別の問題を伴う。
前者はあり得ないと思う。地球でも肌の色が違うだけで差別されていた人たちがいるのに、この世界では本当に人種が違うのだ。全員が分かり合えるはずがない。例えば、エルフは魔力が高いと聞くからエルフ狩りが行われ奴隷に落とされてしまうかもしれない。
後者は魔力至上主義が始まるかもしれない。魔力を多く持っている奴が偉いという思想が出ていてもおかしくはない。その思想が進むと魔力の量で身分が決まるかもしれない。魔力を増やす方法は秘匿され生まれ持った才能だけで決まるといいうこともあり得る。
もしかしたらお金の代わりに魔力が使われることもあるかもしれない。魔力をためることができるようになったらこの思想はさらに進むだろう。
戦争だって変わるだろう。科学と魔法が混ざって誰でも核爆発を起こせるようになったら、殲滅戦になるだろう。もしそんなことが起こったらこの星は一瞬で終わるだろう。
それを回避するために、もしかしたら国から選び抜いた代表戦になるかもしれない。そうなったらおもしろいな!
俺が考えただけでもこんなに問題が出てくるのだ。実際はもっと酷いことになるだろう。今の身分差をもっと広げてしまうことになりかねない。
だから俺は考えた。どうしたら安全に科学を持ってこられるだろうかと。そして考えた結果....俺は諦めることにした。俺が生きてる時代では安全に科学を持ってこれないと結論付けた。
だが俺の生活水準を落とすわけにはいかない。俺は楽をして生きたいのだ。そして俺はこう考えた。未来のことは未来の奴に任せようと。今が良ければ未来がどうなろうと知ったこっちゃない。屑と呼びたければ呼べばいいさ!俺は俺が好きなように生きるって決めたんだ。化学兵器の理論をどっかの国にでも売って隠居生活でもするかな。それを機に科学が発達すればアルストリア様に恩も返せるだろう。そいつらが俺の代わりに恐れられるさ。
それに俺がやらなくても転生者の誰かがやるだろう。結構多いみたいだし。それにしても今までの転生者はなにをやっていたんだろうか。魔法があるとはいえ科学が便利なことには違いないだろうし。詳しい理論や作り方が分からなかったのか?もう少し文明が進んでてもいいと思うんだが。
俺がいろいろ考えているうちに新しい問題が浮かんできた。魔力と科学が合わされば永久機関も作れるんじゃないかということだ。これには人族が深くかかわってくる。
魔力で発電ができるというのは先ほども考えたことだ。では魔力を生み出すのはだれかということだ。もちろん人族だ。そして人族は魔力を使うと自然に回復する。そう自然に回復するのだ。極論、飯や睡眠を与えられなくても回復する。もちろん回復するスピードは落ちるが、今はそんなことはどうでもいい。自然に回復するということは何も消費せずに魔力が手に入るということだ。つまり何もしなくてもエネルギーが手に入る。
普通に生活するだけでエネルギーが手に入るということは脱炭素社会の出来上がりだ。排出する二酸化炭素は人の呼吸だけで蒸気機関など使わなくても文明が一気に進む。環境問題が一切気にならない最強のエネルギーだ。差別が始まってもおかしくないだろう。
まずいな。俺が先ほど述べた問題にますます拍車がかかる。なぜなら、魔力量が多く魔法をうまく使えるのがエルフだ。だがいかんせん人数が少ない。エルフ狩りが始まったらなすすべもなく捕まるだろう。そして次に魔力量が多いのは人間だ。人間は数も多い。そのため人間至上主義が始まってもおかしくない。他の種族は数が少ないか魔力が少ないので数も多く魔力も多い人間には太刀打ちできないだろう。最悪の場合、人間以外の種族がすべて奴隷になるということもあるだろう。そして最悪なことにこの世界には魔法がある。誰かが隷属の魔法を作るだろう。いや奴隷紋の確認をされたからもうすでにあるのだろう。
さてこんなにも最悪な状況を思いついてしまったが、それでも科学を持ってくるかということである。答えはもちろん持ってくる。さっきも言った通り、未来のことは未来の奴がどうにかすればいい。それに俺が言ったのはそうなる可能性があるというだけだ。ならないかもしれない。それにこれまで科学が発展してこなかったのには理由があるはずだ。その理由が存在する限り今のまま緩やかに発展していくはず。この問題は考えてもきりがないな。この辺でやめておこう。




