異常
魔物がいる場所に到着した俺は早速魔法を試した。魔物と言ってもただのゴブリンだったので魔法を避けることも出来ずあっけなく死んでいった。飛び散った肉片が体に付着しても不快感を感じなかった。少し近寄りすぎたのかもしれない。
それにしても前世の俺なら血の匂いで気分が悪くなってもおかしくないのに、興奮が増していくばかりだ。グロ耐性はあるほうだと思っていたが、ここまでとは思ってなかった。それともチートが影響しているんだろうか。
なんでもいいが好都合だ。この世界では生き物を自分で殺すということが当たり前なのだ。村にいたころだって盗賊が殺戮する話は聞いたし、猪を捌いたりもした。
あとは人を殺すことができるかという問題だ。ラノベではここがネックになっている者が多い。今の時点では親しくなったものを殺すのには抵抗があるが、殺せないことはないと思う。顔も知らない人に至っては殺しても何も思わないのではないだろうか。そりゃあ必死に命乞いをされれば後味が悪くなるだろうが、それまでだ。もちろん好き勝手に殺すということはしないがやむを得ない時には殺すだろう。まぁ実際に殺し合いをしてみないと分からないだろうがな。
さて話が突然変わるが俺は結構な綺麗好きだ。ある程度整頓されていれば気にならないが、ほこりなどの汚れは気にするほうだった。そんな俺が肉片や返り血を浴びて汚れている。そこで考えつくのがクリーンという魔法だ。ラノベによっては浄化の魔法とも書かれているが、それだと天に召されてしまいそうなのでクリーンという名前にする。
「『クリーン』」
俺がそう唱えると返り血が段々と薄くなっていき肉片は消えていった。返り血は漂白したとして肉片はどこに行ったのだろうか。確かにそうイメージしたがどういう原理何だろうか?
これを見て確信したがこの世界では物理法則が成り立たない場合があるということだ。魔力や魔法が絡まなかったら物理法則が成り立つが、絡まると成り立たなくなる。つまり前世での常識が通用しない場合があるということだ。まぁ物理法則が何なのかと言われたら説明できないが。
それでもおかしいということは分かる。例えば身体強化を使って走っているとき車よりも速く走れるが風圧を感じないのだ。魔法で制御しているといわれればそうだが、そこまで制御するならば物凄く緻密な計算や莫大な量の魔力が必要になると思うのだ。時速百キロくらいで走ったとしても周りにはそよ風程度にしかなってないし音だってもっと大きくていいはずだ。だが、脳も強化しているとはいえ負担にも感じないというのはいくら何でもぶっ壊れではないだろうか。魔力だって微々たる量しか使ってない。起きている現象に対して使っている魔力が少なすぎる。
この世界でこれが常識なのだったら、科学なんて発展しないだろう。魔法で補えるからだ。だがアルストリア様は科学を発展させようとしていた。つまり科学は発展する余地があるということだ。このことから分かるのは、
もしかして俺の人生ってイージーモード?
だってそうじゃないか。俺と同じことができるのが常識なら、時速百キロで走れる。つまり車がいらないのだ。金がかかる分邪魔な存在ともいえる。そんなものに金と時間をかけるなら魔法を使えるようにしたほうが役に立つ。家を建てるのだって魔法を使えばいい。街の城壁だってつなぎ目がなかったということは魔法で建てたんだろう。俺ならばあれくらい数分で出来ると思うし一夜城だって作ることができる。俺と同じことができるのなら、今頃この星は開拓されまくっているだろう。しかし現状は街の外には魔物がはびこり、秘境や魔境を冒険者が探っている。
つまり俺は異常なのだ。俺を異常と判断する理由は魔法を簡単に作りすぎだし使いすぎなのだ。身体強化が赤ん坊の時にできていたのはまだいい。リナもできていたのだから、才能の範囲で片付けられる。だが攻撃魔法があれだけ使えるというのは明らかに異常だ。
俺は想像力には自信がある。俺がラノベを書くとしたらどうするか考えていたからだ。だがそれでも俺は凡人だ。決して天才や秀才などではない。なぜなら母さんの魔法を真似できなかったのだから。あれだけしっかりと見て詠唱も真似して試したのができなかった。魔法はイメージで出来るというのに。しかし自分で考えた魔法はすんなりとできてしまった。どちらもしっかりとイメージはしていた。だがどちらのほうが完璧にイメージしていたのかというと、母さんの魔法だろう。見たことのある物と見たことのない物ではどちらのほうが想像しやすいかなんてわかりきったことだ。にもかかわらず出来た魔法は自分でイメージしたものだ。つまり俺が何を言いたいのかというと
訳が分からないよ
脳をフル稼働させたのにも関わらず分からない。長々と思いつくことを言ってみたが、法則が分からない。しっかりイメージできているほうはできなくて、俺の想像だけでしているほうができるのは、意味が分からない。やっぱり俺は凡人だ。
凡人だが、万が一の可能性で魔法に関しては天才なのかもしれない。




