魔力視
宿に帰るとリナがいた。
「ただいま、リナ」
「おかえり」
俺たちは夕飯を食べながら話をすることにする。
「この二日間リナは何してたの?」
「依頼」
「そっか。どれぐらい稼げた?」
「大銅貨二枚」
「ゴブリンを倒してた俺より多いんだけど...」
「ゴブリン討伐は報酬が低い」
「道理で周りに人がいなかったわけだ。それで、なにしたの?」
「教えない」
「教えてくれてもいいじゃないか...まぁいいか。それでその大銅貨二枚で何をするの?」
「内緒」
「ふ~ん、それじゃ俺も話そうと思ってたこと内緒にしようかな。リナがあんなに知りたがってたことなのにな~」
「大丈夫」
「まぁ関係なく話すんだけどさ。今日、初めて攻撃魔法を使ったんだよね」
周りは酒盛りをしていて俺たちの会話は聞こえていないはずだ。
「ほんと?」
「本当だよ。ゴブリンを百匹ぐらい殺してきたところさ」
「教えて」
「内緒にしようかな~」
「いじわる」
リナが睨んでくる。普段無表情の女の子が睨んでくると変なものに目覚めそうだ。
「冗談だよ。教えるよ。明日暇?」
「暇にする」
「やることがあるんだったら別の日でもいいよ。攻撃魔法を教えるだけだし。他の魔法はリナなら暴発せずにできると思うしね」
「分かった」
「じゃあまず最初の魔法は、魔力を見るものね。これは俺も初めてだから一緒にやろう」
「初めて?」
「ああ初めてさ。攻撃魔法も一発で出来たんだからこの魔法も出来ると思うんだ」
「天才」
リナが恨めしそうな雰囲気を出してくる。
「リナには言われたくないけどね。じゃいくよ。人の力の源を見る目を我に『魔力視』」
見ている世界が変わった。人の中に炎みたいな何かがあり、これが魔力なのだと直感的にわかった。リナの炎は周りの奴らの数十倍あってキャンプファイヤーみたいだった。
「リナもやってみて。俺はできたから」
「分かった。人の原初の火を見る目を我に『魔力視』」
「どう?見えた?」
「見えない」
「うーんと、多分だけど重要なのは人の魔力をどう見たいかだよ。俺は炎をイメージしたけどリナは水をイメージしたほうが良いかもしれないし、本をイメージしたほうが良いかもしれない。そのためには詠唱を変えたっていいと思うんだ。自分がイメージしやすい自分だけの詠唱を作るんだ」
「分かった」
リナはしばらく考え込んだ。
「やる。人の力の根源を見せよ『魔力視』」
リナはあたりを見回して小さく微笑んだ。その顔はとても綺麗で見惚れてしまった。
「見えた」
「そう。俺の魔力は周りの人と比べてどれくらい?」
「うーん、数百倍?」
「やった!!これで人よりも魔力を持っていることが分かった!ずっと心配だったんだよね。もしかしたら人並みの魔力しか持ってないんじゃないかって」
「そんなことない」
「ありがとう。次は魔力視をどうやったらごまかせるかだね」
「え?」
「魔力視を使える人がいるかもしれない...というか絶対いるからそれの対策だね」
「分かった」
「あと純粋な魔力を出したらどうなるかも試したいし、魔石には魔力があるのかも調べたいし、人によって魔力の質が違うのかもしらべたいし、あとは....」
「ストップ」
リナが顔をつねって来た。
「いたっ」
「落ち着いて」
「そうだね、ありがとう。落ち着いたよ。いろいろ試すのは後回しにして、まずはリナが攻撃魔法を覚えるところからだよね」
「お願い」
「任されました。都合がついたらいつでも言ってね」
「分かった」
「そろそろ寝ようか」
「うん」
会話を終えた俺たちは雑魚寝部屋に帰ったのだった。




