襲撃
テントを建て終えた俺たちは夕飯を食べることにした。夕飯はもちろんビッグボアの肉を焼いただけのものだ。塩などの調味料は一切使ってないのにとても美味しかった。昼に食べた猪とは大違いだった。
「うまっ!」
「美味しい」
「そうだろう。獣系の魔物は大体うまいんだ。普通は強ければ強いほどうまいと言われている」
「へぇ~、そうなんだ!魔物の強さって何で決まるの?」
「ただ見ただけじゃわからんが魔石の大きさが大きいほうが強いとされているな」
「そうなんだ。ビッグボアってどのくらい強さなの?」
「魔物の中だと最下級に位置するな。冒険者としては一人で狩れてやっと一人前だな」
「俺たちでも倒せるかな?」
「そうだな....身体強化を使ってギリギリじゃないか?」
身体強化と言っても魔力によって天と地ほどの差があるからよくわかんないなぁ。
「俺たちってそんなもんなんだ....」
「きっと一人でも倒せる」
「自信を持つことは大切なことだ。油断はしてはいけんがな....さて、二人とももう寝なさい」
「今日は疲れたからね。そうするよ」
「そうする」
「不寝番は俺がほとんどするが明け方になったら起こすぞ」
「「はい」」
俺とリナはそれぞれのテントに入りすぐにぐっすりと寝た。
深夜、森の住人がすべて寝てしまったのだろうかというほど静かな時、大声が響き渡った。
「二人ともすぐに起きろ!!!!」
俺はまだ眠い眼を擦りながら短剣を構えて外に出た。
「父さん、何?」
リナも俺と同じような格好で出てきていた。
「ゴブリンだ!臨戦態勢!!」
俺とリナは一瞬で態勢を整えてゴブリンがどこから来てもいいように背中を合わせた。
「数は分からんが多いぞ!暗闇は相手の有利だ!焚火の周りで応戦するぞ!」
「「はい!」」
そうして突然始まったゴブリンとの戦闘は十数分の時を要した。
「これで終わりっ!」
俺が最後の一体にとどめを刺したところで戦闘は終わった。
「俺は周りの警戒をしているから二人で解体をしておいてくれ。ゴブリンの解体は魔石を取り出すだけでいい」
「分かった」
ゴブリンは俺たちと同じくらいの背丈で醜い顔をしていた。数を数えてみると九匹ものゴブリンがいて、あたり一帯は濃い血の匂いが漂っていた。光が焚火しかないのでゴブリンの死体を焚火の近くまで運んでから解体するのは重労働だった。
「父さん、終わったよ。」
「そうか、次の魔物が寄ってこなくてよかったな。二人とも怪我はないか?」
「俺は大丈夫。返り血を洗いたいくらいかな」
「私も」
「良かった。今回のゴブリンはこん棒持ちしかいなかったからいいが、武器に毒が塗ってあることがあるんだ」
「怖っ」
「このあたりで毒を作る草は一種類しかないから毒消しは持ってきているが遅いと手遅れになるからな」
「そうなんだ。ゴブリンの死体はどうするの?」
「これも穴を掘って埋めよう。ゴブリンの肉なんてまずくて食えたもんじゃないが、それでも食おうとする獣はいるからな」
「分かった」
「死体を埋めたらもう一回寝なさい」
「返り血は?」
「冒険者になるなら朝になるまで我慢しなさい。夜に出歩くのは危険だ。体も冷えるしな」
「分かったよ....そういえば、魔石を抜かずに死体を放っておくとどうなるの?」
「アンデットになり厄介さが増す。だから魔物を倒したときは魔石だけはしっかり抜くんだぞ」
「「はい!」」
「さぁ、埋めるぞ」
さっさと死体を穴に埋めると俺とリナははテントに戻った。今度は明け方になるまで何の襲撃もなくぐっすりと寝ることができたのだった。




