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俺が最強になるまでの物語  作者: アルトラ
少年期
12/37

痛み

「構えろ」

 父さんが木剣を構えながらそう言ってきた。

「父さん、俺たち構え方教えてもらってないよ」

「いいから構えろ。構えたらかかってこい」

「じゃあ行く」

 そう言ってリナが走って行ってしまった。仕方なく俺はリナの後ろにつくようにして父さんに向かっていった。前を走っているリナが消えたと思ったらとてつもない衝撃が襲ってきた。そしてその後に続いたのは大きな痛みだった。

「うああぁっぁぁぁ!?!??!?!いってえええぇぇぇぇ!?!?!??」

 俺は腕を抑えながら情けなく泣き叫んだ。リナもうずくまって痛みに耐えているようだった。

 前々から考えていた痛みを知らないという懸念点は図らずもここで解消された。しかし。想像していたよりも大きく鋭い痛みに俺は立ち上がることはできなかった。

「さぁ立て!かかってこい!それともお前たちの志はその程度か!」

 俺はその言葉を聞いても立ち上がることができなかった。しかしリナは

「そんなわけない!!」

 リナはそう言ってまた父さんに向かっていった。そしてまた殴り飛ばされていた。俺はその姿を見てリナはやっぱり凄いなぁと思った。それと同時に恐怖を覚えた。

 このままでは前世と同じだ。あの空虚感にとらわれて何の夢も持たず生きているだけの人生になる。そんな恐怖が襲ってきた。

 いいや!違う!俺は決めたはずだ!最強になると!恐怖に打ち負けないと!今がその時だ!

「ああそうだよな。そんなはずねぇよなぁ!!!!!」

 そう叫んで俺は父さんに向かっていった。そして殴り飛ばされる。その繰り返しだった。何度もくじけそうになったが、リナの姿を見て何度も立ち上がった。必死に父さんに向かうリナを見ると勇気をもらえた。

 俺もあんな風に生きたいんだ!

 どれくらいそうしただろうか。何時間にも思えた時間は突然終わりを迎えた。

「ここまで」

 その言葉を聞いて俺達は倒れこんだ。息もできないほど体はボロボロで指先に力を籠めることすらできなかった。

「良く立ち上がったな」

 その言葉がとても嬉しくて泣きそうになってしまった。まぁ、痛みですでに泣いていたのだが、別種の涙が込み上げてきたのだ。

「リナ、俺たち頑張ったなぁ」

「うん。でも私のほうが頑張った」

「リナは負けず嫌いだなぁ」

 でも確かにそうだ。リナのほうが速く立ち上がり父さんに向かっていったからなぁ。でも次は俺の番だ。俺がリナに勇気を与える番だ。そう心の中で誓い俺は気を失った。



 知ってる天井だ。俺は体を起こそうとしたが、痛みでピクリとも動かせなかった。

「いって!」

「起きたか」

 父さんが椅子に座りながら声をかけてきた。

「体の調子はどうだ?」

「体中が痛くて起きれそうにもないや」

「そうか」

 そう言って父さんは木のスプーンを口の前に持って来てくれた。

「食え。パンをふやかしてある」

「ありがとう」

 食べさせてもらったパンは柔らかくはあったが美味しいとは言えなかった。

「リナは?」

「自分の家で寝ている。リナも起きたころだろう。安心しろ、手加減はしたから多分大丈夫だ」

「多分?」

「二人とも骨は折れていた。一応治癒師に見せたから後遺症はないはずだ」

「そっか」

「後悔しているか」

「いや、後悔なんてしてないよ。俺たちから頼んだことだし、父さんのことだから必要だと思ったからやったんでしょ?」

「ああ」

「それならいいや」

「俺が冒険者になりたてだったころも先輩から扱かれたものだ。そのおかげで助かったことが何度もあった」

「父さんはどんな冒険者だったの?」

「俺は農家の三男だったからな。家を出て王都に行きそこでダンジョンに潜ってとってきたものをギルドに売って暮らしていた。母さんと出会ったのはその時だ」

「王都にいたのに何でこんな辺境に?」

「所帯を持つにも王都の家は高いからな。開拓者としてこの村を作ったんだ」

「村を作った!?」

「ああ。この村はできてまだ十年くらいだ」

「そうなんだ…その時の話聞かせてよ」

「少し話したら寝なさい」

「わかった!」

 父さんの声を聴きながらまた俺は眠りについたのだった。

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