出逢いのとき
パーティ会場は、王宮の中央にある大きなダンスホールだった。
馬車から降りると、さすが皇子の誕生日パーティという事もあって、国内外から大勢の貴賓が詰めかけていた。
お父様やお母様に連れられて、主賓の元へ向かう。
「おお、ダンテ殿!よくきたな」
「陛下、ダンテ・ラ・カンデスがご挨拶申し上げます。相変わらずお元気そうでなによりです」
お父様のご挨拶に合わせて、お母様とならんで膝を折り、深くこうべを垂れる。
私が王宮に入る直前に亡くなられてしまう国王様、クローム皇子のお父様。お顔立ちが整っているうえに年齢を重ねて厳格な顔つきをされているせいか、初対面だとかなり強面な印象だが、笑うとガラッと印象が変わる。元々の明るい性格もあって、国民の人望も厚い。
「クローム皇子。こたびは15歳のお誕生日、誠におめでとうございます」
「ダンテ殿、ありがとうございます」
そっと目線を上げると国王様の隣に皇子が座っていた。
意思の強そうなきりっとした目元とよく通った鼻筋は国王様似、皇后様似の柔らかそうな黒髪と、程よい筋肉がありながらもすらりと長い手足。思えばもとより有名であったその美貌で、もうこの頃から社交界の憧れの的だった。
15歳という若さと持ち前の美しい顔立ちのクローム皇子は、初めて会った時と同じように一切表情を崩さずそこに座っていた。
(前の私はここで一目惚れしたのよね)
当時の私を懐かしく思いながらも、彼に疑われて城を出たあの日を思い出し、そっと目を伏せた。
「ん?そちらの令嬢が噂の愛娘かね?」
「ご挨拶が遅れ恐縮です。ソフィー・ラ・カンデスと申します」
急に国王の目線に捕まったものだから、慌ててまた膝を折り、深々とお辞儀をする。
「クローム皇子、本日は誠におめでとうございます」
「……ああ、ありがとう」
ここは挨拶したほうが無難だろうと思い、クローム皇子に向かってお祝いの言葉を伝えた。
なぜかじっと見られた気がするけれど、気のせいだろう。
「ずっと王宮に遊びに連れてこいと言っていたのに、まさか初めて会えるまで15年もかかるとは驚きだな。ああでも、こんなに可愛らしいご令嬢なら無理もない」
「あまりパーティにも参加させたくはなかったんですがね……」
「いいじゃないか!15歳にもなれば社交界デビューもすでに果たしただろう?」
国王様相手に砕けた口調で話すお父様。国王様もとくに咎めようともしないし、なんだかんだ仲がよさそう。
チラッとクローム皇子を見ると、一瞬目が合ったが、バッと目をそらされた。
なんだろう。前回の初対面とはまた違う違和感……?
その様子に違和感を抱きつつ、その後お父様とお母様の挨拶回りに1時間ほど付き合って、ようやく解放された。
「あーーーーー疲れたわ」