疑惑2
忙しく過ごす間にあっという間に1年が過ぎ、ソフィーは19歳になった。
「いい天気ね~!今日はみんなにクッキーを焼いてきたわ」
「ソファーのクッキー大好き!」
「わたしも!」
「おいっ押すなよ!ちゃんと全員分あるから」
ルークが教会の子供たちに会ってみたいというので、久しぶりにセントラルノ教会を訪れた。
遠征以降、クロームや皇后から王宮へ呼び出されることが増え、リリーと店の新作作りにも取り組んでいたので、教会にくるのは数ヵ月ぶりだった。
「ソフィーさんいらっしゃい。ちょっと痩せたのかな?」
「神父様!こちらにいらっしゃるのは珍しいですね」
「今日はグレイグも来ているよ」
普段はあまり孤児院の方には姿を見せないが、神父のロベルには小さい頃からお世話になっていた。
「ソフィー、久しぶり!」
ロベルの後ろからひょっこりと顔を出したグレイグは、以前会ったときより身長がぐんと伸びていた。
「久しぶりね、グレイグ!元気そうで安心したわ」
グレイグはソフィーの3つ年下で、生まれつき身体が弱く、外で遊ぶことは難しいが、よく孤児院を訪れていた。たまにやってきて本を読み聞かせてくれるソフィーに懐いていた。
彼の母親も生まれつき身体が弱く、数年前に亡くなったと聞く。相変わらずひょろひょろとしているものの、順調に成長している姿をみてソファーはほっとした。
「待って、当ててあげる」
グレイグは大きな瞳でじーっとソファーの顔を見つめて、しばらく考え込むような仕草をした後、もう堪えきれないというように肩を震わせて言った。
「すぐわかったよ。今日は、クッキーだろう?」
「正解よ!すごい、なんでわかったの?」
「そりゃわかるよ。だって、顔に書いてあるもん」
「顔にかいてあるわけないわ」
「鏡、みてみる?」
久しぶりに冗談に付き合ってあげるか、という大人の寛大な心で手持ち鏡を取り出したが、見た瞬間後悔した。
「いったい誰がこんなイタズラを...」
「ね?ホントにかいてあったでしょ?」
にこにこと屈託のない笑顔で笑った。
ソファーが持ってきたものを当てるゲーム。いつ始めたかは覚えてないが、グレイグは毎回必ず正解を言い当てた。今日も例に漏れず正解のようだが、顔にクッキーと書かれていれば当然だった。
「ねえルーク、ここにくる前から書いてあったかしら?」
「あー、もうばれた?」
一緒に協会にやってきたルークに聞けば、にやにやと気持ち悪い顔をしている。
じとっと見つめると、ルークが犯人だと白状した。
教会に訪れる前に屋敷の庭でお昼寝していたところを畑を耕した後ちょうどお昼寝していた間にやられたようだ。
「ルーク...あなたがそんなに私に恨みがあるとは知らなかったわ」
「まってくれ、誤解だ!俺はただみていただけで、妹がやろうっていったんだ。おれはなにも」
「ち、ちがうわ!お兄様がやろうっていったのよ!」




