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疑惑1

その後。


暴動を主導した幹部を筆頭に、アジトに潜伏していた数十人が捕らえられたが、アジトでは暴動に紛れて家を奪われた家族や、怪我をした女性や子供が保護されていた。被害者から証言があったことから、罪状に錫杖の余地があると判断され、その後条件付きで釈放された彼らは、国の監視下のもと南部で仕事を与えられたそうだ。


また、取り調べによると領主と暴動派の相互の認識にずれがあり、両者の言い分が互いに覚えのない話であったことから、暴動の手引きをした何者かの存在が浮き彫りになった。その人物の情報については互いの言い分が一致していたが、流浪の商人ということしかわからず、調査は難航していた。


「なんか腑に落ちないのよね」

「...遠征にいけなかったこと、まだ怒っていらっしゃる?」


「それはまだ怒っているわ」

「仕方ないじゃない。本当に熱がでてしまったんだもの」


ソフィーが遠征から戻るとすぐに、リリーは現地での話を聞こうとカンデス家を訪れた。というより乗り込んできた。体調を崩したのは嘘かと疑うほど元気そうだ。


どちらかというと、ソフィーの方が疲労の色を隠せずにいた。

事件に巻き込まれた後、なぜか不機嫌そうなクロームと終始二人きりで馬車に閉じ込められ、気まずい時間に心を削られる体験をした。


「まあ、回復してよかったけれど」

「お礼に今度、貴重な東方のお茶でも仕入れてくるから」

「美味しいものを与えれば許されると思ってるわよね?」


ソファーは顔をひきつらせたが、体調不良と言われてしまえば仕方がないので許してあげることにした。そう、仕方がないからだ。決して東方のお茶で懐柔されたわけではない。


「それはさておき、南部の事件のこと。なにか引っかかるのよね」


疑われている商人にも決定的な証拠はなく、領主が買わされた古い骨董品が数点残っていたくらいで、手がかりはほぼ無いに等しい。


そういえば、骨董品の中に一つだけ妙に浮いているネックレスが混じっていた。既視感のある形だったが、思い出せそうで何も思い出せない。


(どこかで見たことがあるような...)


必死に思い出そうとしたが、リリーに根掘り葉掘りと聞かれてそれどころではなくなった。遠征での実地調査の話、現地の人々に種を配った話、怖いもの知らずな男の子の話、さらわれた時のパンが美味しかった話、クロームとの時間がとにかく気まずかった話...リリーと気兼ねなくお喋りをする楽しい時間は、あっという間に過ぎていった。


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