選択肢3
裏口を出た瞬間。
ドアを開けると、見覚えのある背中がすぐそこにあった。
「あら?」
ふいをついて声を出した瞬間、男は険しい表情で勢いよく振り返った。
「!誰……って、ソフィー様!?」
驚いた顔で振り返ったのは、ここにいるはずのないランデルだった。
「どうしてここに?殿下が近くにいるのですか?」
「いえ、殿下はおりませんよ。今は広場の方で暴動をおさめているところです」
「ではこんなところにいては、殿下をお守りできないでしょう」
近衛騎士だから当然殿下のお傍を離れられないはず。
不思議に思って尋ねると、ランデルさんは何が嬉しいのかニコニコと笑顔で言った。
「殿下の命で、ソフィー様のお側にいるよう命令がくだりましたので」
「え?わたしを?」
「はい!殿下の騎士となって早数年。まさか殿下に大切な女性ができるなんて……ははっ不思議なもんですね。つい昨日までは自分のことばっかりの自己中王子だったのになあ。って、ソフィー様どちらへ!?」
話が長くなりそうだったから、気づかれないようそっと離れようとしたのに。
「ソフィー様いけません!安全なところにいていただかないと。俺が怒られますからまじで!」
「本音がだだ漏れですよ?それにちょっと覗くだけなら平気でしょう?ランデルさんの剣さばきも見たいし」
「いやいや……見ます?」
ランデルと剣技について語らっていると、気づけば広場の目の前に到着していた。
建物の陰に身を潜め広場の方を見ると、男たちが数人捕らえられている。
広場中央の銅像に縛りつけられ、そのまわりで皇太子殿下直属の騎士たちが見張っているようだ。
少し離れたところでは、抵抗する数人の男たちを騎士達が取り囲んでいた。
「あちゃー……」
「?どうかしましたか?」
ランデルは観念したように目をつぶり、天を仰いでいる。
「こんなところで何をしている?」
突然、背後から不機嫌な男の声がした。反射的に背筋がピンとのびる。
おそるおそる振り返ると、眉間にぐっとしわを寄せるクロームがいた。
「あ、あら殿下!ご無事でなによりですわ」
周辺の温度が急激に下がった。絶対気のせいではない。
クロームはニコニコと笑顔を貼り付けたソフィーをじっと見下ろした後、小さくため息を吐いた。
「言い訳は後で聞く。くれぐれも邪魔するなよ」
(邪魔って、そんな言い方しなくても)
一瞬むっとしたが、邪魔しに来たことは確かなので、何も言い返さずに広場の方に目線を戻した。
物の数分で、騎士団に広場は完全に制圧されていて、特にソフィーの出る幕はなさそうだ。
これで一件落着ねと、息を吐いたときだった。
「なにすんだ!はなせよっ」
聞き覚えのある声がして振り返った先には、見覚えのある少年が黒装束の男に捕らえられていた。
「皇子ってのはあんたか?」
クロームに向かって短剣を向けた男は、少年をかついだままニタニタと笑ってクロームへと近づいてきた。
「捕らえろ」
隣の影が消えたかと思うと、次の瞬間にはズルリと男が崩れ落ちた。
背後から現れたランデルが、少年をしっかりと脇にかかえながら、男の短剣をひょいと拾った。
「?なんだ、拍子抜けするくらい手応えなかったな」
その素早さに感嘆していると、ランデルのしまったという顔が一瞬ちらつき視界が揺れた。
「残念。本命はこっち」
「へ?」
気づけばソフィーは宙に浮いていた。
「ソフィー!」
「ソフィー様!」
首のつけねに衝撃を感じ、ふと視界が暗くなる。
クロームの焦ったような声が聞こえるが、その表情まではわからない。
(完全に油断した……)
焦りとは裏腹に意識は遠退き、ソフィーの意識は途切れた。
気づけば前回の更新から半年も経ってました。。。
今年は更新できるようがんばります(^_^;)




