再会4
「ここがそのお店?普通の家みたいね」
「そう。看板もないからね。お先にどうぞ?お嬢様」
「お嬢様?なあに、ルーク。今度は執事のまねっこ?」
「こういうのちょっとやってみたかったんだ。君はまさにお嬢様ってかんじだし」
「まさにお嬢様ってどういう意味よ。嫌味?嫌味でしょう?」
「そうじゃないけど……あっほら見て、この店がそうだよ」
そこは煉瓦造りのこじんまりとした一軒屋のようだった。
扉の前には呼び鈴があり、チリン、と鈴を鳴らすと、少しして目の前の扉が開いた。
「お待ちしておりました」
出てきたのは50代くらいの、目の周りにしわのある落ち着いた雰囲気の男性だった。
縦に長いコック帽を頭にかぶっているから、きっとこの人が料理を作るんだろう。
「わあ……!可愛らしいお店ね!」
足を踏み入れてみると、意外と店内は広かった。
天井は吹き抜けになっており、店内の至るところに植物が飾られている。
窓からは陽の光が差し込み、まるで森の中の一軒家にいるような、不思議な空間だった。
「気に入ってくれた?」
「ええ、とっても!こんな素敵なお店があったなんて!」
店に入る直前まで、2人で行くことにグズグズ抵抗していたのも忘れて、席についたソフィーは何を食べようかと目の前のメニューに夢中になっていた。
「喜んでもらえたみたいでよかった」
「うん!連れてきてくれてありがとう。でもどれもおいしそうで迷うわ」
「君が食べたいものを二つ選びなよ。俺はどれでもいいから」
「えっいいの?本当に?」
ほどなくして運ばれてきたのは、どちらもソフィーが選んだ料理だった。
有機野菜が中心だが、メインにはお肉とお魚も加えてもらった。
ルークは白ワイン、ソフィーはブドウジュースでそれらしく乾杯した。
とりとめのない話をして、楽しい食事も終わろうとしていたところ、ルークがふと思い出したように、急に質問を投げかけてきた。
「そういえば君はなんでクローム殿下と婚約したんだ?まさか殿下のことが好きだから……とかじゃないよな?」




