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安静のとき2

普通の食事ができるくらいに回復したソフィーは、時間があればお茶会での事件について考えていた。


あの日は殆ど人と接触していない。一体誰が私に毒を盛ったんだろう?

私のお茶に毒を盛れるほど接近したのは、リリーとあの男、そして殿下の三人だけ。


まさかリリーがそんなことするはずないよね……?私を殺そうとする理由がないし。


かといってあの男でもないだろう。狙いは確か……アマランサスの涙?とか言っていた。

あの場に偶然居合わせた私を使って殿下を脅そうとしただけだし、私を狙ったわけじゃない。


毒はそもそも私を消そうとした人間……と考えると、

やっぱり殿下が犯人だったり?


私を見殺しにしようとしたくらいだもの。

理由はわからないけど、ありえなくはないわね。


ジェシーにコッソリ持ちこませたお茶会の名簿に目を通しながら、他に怪しい人物が近くにいなかったか懸命に思い出そうとしていた。


「……ソフィー嬢。もう身体は平気なのか」


「殿下!」


考え事をしていて気づかなかった。

クロームは部屋のドアに身体を預け、腕を組んだ格好でソフィーの方を見ていた。


見ていたお茶会のリストをさっとシーツの下に隠した。


「そのままでいい。君は病人だろ」


急いでベッドから降りて挨拶をしようとしたが、殿下の声でピタリと止まる。


「ではお言葉に甘えて……」


お茶会の出来事でさらにクロームに対する警戒心は増す一方だ。

ベッドの上にはとどまったが、念のため……と、お見舞いの果物に使ったナイフもクロームに見えない位置でそっとシーツの下に滑り込ませた。


「……そんなに警戒せずともよい。危害を加えるつもりはない」


普通にばれた。


「あら、そんなことを言われましても……お茶会で殿下が仰ったことはぜんぶ覚えていますよ?」


笑顔を張り付けたままお言葉を返すと、クロームはバツの悪そうな顔で言った。


「……悪かった。君のことをあの茶会に呼ぶべきではなかった」


「はい?」


「男が現れたとき、確かに私は君のことを疑っていたが、男が本当に君を殺そうとしたらすぐ助けるつもりだった。だが助けようとした時には、君は男を蹴り飛ばすわ、急に倒れるわで……」

「あ、それは……」


蹴り飛ばした件についてはなんとも言えない。


「勘違いするな。君を信頼したわけじゃない。だが君が毒を盛られたのは、お茶会に呼んだ私に責任がある。……本当に申し訳なかった」


そう言って、クロームはその場で深く頭をさげた。


「で、殿下!やめてください!頭をさげられても困ります」


急な展開に焦る。

これも演技かも……と思いながらも、なかなか頭を上げないクロームに戸惑う。


「何なら君の気のすむまで殴るなり蹴るなりしてくれ」

「何を仰るんですか!できるわけないでしょう!」


一瞬、本当に蹴ってもいいんですか?と聞き返すか迷ったが、これは罠だ、と思いとどまった。

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