安静のとき1
苦しい。
身体が熱い。
「っはあ」
「しっかりしろ!解毒剤はまだか!」
この声は……殿下……?
「殿下!調べたところこの毒はーー」
「ならばーーーーいいんだな?」
「しかし殿下」
「よい」
誰かと話してるみたい。
「う……」
全身をジワジワと蝕む痛み。このまま死ぬのかな。
「すぐ戻る」
額に何か触れた感覚がして、すぐに離れた。
暗い闇に落ちていくような感覚だーーーー
____
知らない部屋で目が覚めた。
身体はだるいが、全身を這うような痛みはなくなっていた。
「お嬢様!!旦那様、奥様!お嬢様が目を……!」
「ソフィ!」
「……ここは……」
身体を起こそうとしたが、手が延びてきてすぐにベッドへ戻された。
「起き上がってはだめよ、ちゃんと寝てなさい!」
「お母様……泣いたのですか?目が赤いですね」
「もう!誰のせいだと思ってるの?すっっっっごく!!心配したのよ?あなたも何か言って!」
「まあまあ、落ち着くんだフィナ。ソフィーも目が覚めたばかりでまだ頭が回っていないんだろう。説教はあとにしよう」
二人とも顔色が悪い。
というか私が説教されるの?
「ここは……どこですか?」
「王宮の皇子宮だ。殿下に呼ばれたお茶会でそのまま倒れて、今日で三日だよ」
「誰かに毒を盛られたのよ!三日三晩ずっと生死をさ迷ってたの。薬のおかげで奇跡的によくなったけど、後遺症があるかもしれないって」
「毒……」
茶会中に男に剣で脅されて、お返しに足蹴にしてやったところまでは覚えている。
そのあとの朧気な記憶の中で、誰かが話していたかもしれない。
「殿下も心配されていたよ。また今日もいらっしゃるだろう」
「殿下が?心配?」
まさか。
あの時の殿下の暴言は一言一句忘れていない。私を心配するなんてありえない。
「とにかく暫くは絶対安静だ。この部屋の使用は殿下からもお許しいただいているから、体調が良くなるまでここでゆっくり身体を休めること」
「無茶したら、今後一切外出を禁止しますからね!」
「お母様、それはひどいです」
三日間横になっていたせいか、身体が思うように動かない。
とにかく体調が回復しないことには何もできないと判断し、二人の言葉に甘えてゆっくり身体を休めることにした。




