頼まれごと3
今日のメニューは、野菜たっぷりのクリームシチューだ。
国から教会への補助金はそれほど多くないため、ソフィーが持ち寄った材料や教会への寄付金から生活費を除いたお金で、なんとかバザーの炊き出しを毎月行えている。
国はここ数年で発展し、城下町も活気ある様子だが、まだまだ貧富の差は激しい。生活難で困っている人間もまだ沢山いるのが現実だ。
「おい、割り込みするなよ」
「お前また並んだだろ!」
「押さないでくださいね~!安心してください!今日はたっぷり作ってありますから!」
並んでいたおよそ百人くらいにシチューを配り終えて、やっと一息つくところだった。
「えっ本当に!?」
「はやく見に行こう!」
ザワザワと騒がしい方を見ると、教会の入り口で人だかりができている。
(もしかして、レミさんが言っていたスペシャルゲストのことかな)
興味はあるが、へとへとに疲れた体で人だかりに突っ込む気力もない。
教会の裏口で少し休憩をとった後、最後にお祈りをして帰ろうと教会の中へ入った。
セントラノ教会は、歴史ある教会のひとつだ。
煉瓦造りの古い建物ではあるが、毎日シスター達が綺麗に掃除をしている。
特に、祭壇をぐるりと取り囲むステンドグラスは、息を飲むほど美しい。コバルトブルーの深い青色を用いて複雑な模様で描かれており、晴れた日には美しい光が教会に降り注ぐ。
ソフィーは特に、夕刻の時間にお祈りをするのが好きだった。太陽が沈む時の赤く染まった光とステンドグラスの深いブルーがまじりあい、幻想的な空間になる。その中でお祈りをすると天にも願いが届くような気がした。
ミサが終わりガランとした空間で、ひとり膝をつき祈りをささげた。
祈ることはいつも一緒だ。
(主よ、多くは望みません。だからどうか、私も家族も健康で長生きできますように)
満足いくまで祈りをささげた後、そろそろ帰ろうと立ち上がった時だった。
「なぜ君がここに?」
急に背後から聞こえた声に、凍り付く。
「……え?」
「……聞こえているのか?ソフィー嬢」
私はこの声を知っている。聞き間違えるはずもない。
振り返るとそこにクローム皇子がいた。




